ラベルでわかる!サントリーオールド年代の見分け方 | Guide of Whisky
ラベルでわかる!サントリーオールド年代の見分け方

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サントリー

ラベルでわかる!サントリーオールド年代の見分け方

 

ご実家の飾り棚や、行きつけのバーのバックバーで、黒く丸いボトルが静かに佇んでいるのを見かけたことはありませんか。

「だるま」の愛称で親しまれ、多くの人にとって「親父が飲んでいたウイスキー」の記憶と重なる「サントリーオールド」。

その一本が、実は単なる古いお酒ではなく、歴史を物語る貴重なボトルだとしたら、気になりませんか。

 

この記事では、まずは基本となるオールドって何?というウイスキーの素朴な疑問から解き明かしていきます。

そして、年代特定の最大の鍵となる特級とは何ですか?という専門的なポイント、さらには初期ボトルにある寿の意味といった、時代を象徴するシンボルについても丁寧に解説を進めます。

時代ごとの歴代ラベルと旧ボトルのデザイン変遷を詳しく追うことで、お手元の一本がいつ頃のものなのか、ご自身で判断できるようになるはずです。

 

もちろん、古い時代のボトル、特に希少な年代物や特徴的な90年代のボトルには、収集家たちの間で注目される価値が見出されることも少なくありません。

その背景を理解するために、年代による価格の違いを比較する際の参考情報として、特に注目度の高い1970年代と80年代の価格差にも言及します。

さらに、兄弟ボトルとして知られるリザーブ年代見分け方や、リザーブの特級と初期ボトルの違いにも光を当て、サントリーウイスキーが紡いできた奥深い世界の魅力を多角的に探求していきます。

 

この記事でわかること

記事のポイント

  • 歴代ラベルやボトルの特徴から年代を特定する具体的な方法
  • 「特級」や「寿」マークが示す歴史的な意味
  • 年代ごとの価値や価格の背景にある要因
  • 関連ボトル「サントリーリザーブ」との比較と見分け方

 

Table of Contents

基本知識でわかるサントリーオールド年代の見分け方

基本知識でわかるサントリーオールド年代の見分け方


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この章では、オールドの歴史から始まり、「特級」や「寿」マークの意味、そして歴代ラベルのデザイン変遷まで、年代を見分けるための基本的な知識を詳しく解説します。

 

ポイント

  • まずは基本「オールドって何?」
  • 年代特定の鍵「特級」とは何ですか?
  • 初期ボトルにある「寿」の意味は?
  • 歴代ラベルと旧ボトルのデザイン変遷
  • 希少な年代物や90年代のボトル

 

まずは基本「オールドって何?」

まずは基本「オールドって何?」


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サントリーオールドは、サントリーの前身である壽屋(ことぶきや)時代の1950年(昭和25年)に誕生した、日本のウイスキーを代表するロングセラーブランドの一つです。

戦後の復興期において、本格的な国産ウイスキーへの期待が高まる中で、創業者である鳥井信治郎氏が長年の経験と情熱を注ぎ込み、目指した「日本人の味覚に合うウイスキー」の集大成として世に送り出されました。

単なる模倣ではない、日本の風土と繊細な味覚に根差した味わいを追求した結晶といえます。

 

その特徴的な黒く丸いボトル形状から、多くの愛好家に七転び八起きの縁起物「だるま」という愛称で親しまれています。

このデザインは、発売当初から高級ウイスキーとしての堂々たる風格を演出し、多くの家庭では特別な日に開ける「憧れの一本」として、客間や飾り棚の主役であり続けました。

味わいの中核を成すのは、日本初のモルトウイスキー蒸溜所である山崎蒸溜所のモルト原酒です。

シェリー樽で熟成された原酒由来の華やかで豊かな香りと、バニラを思わせる甘さ、そしてまろやかで深みのある味わいが絶妙な調和を生み出し、長年にわたり多くの人々を魅了し続けています。

 

もちろん、70年を超える長い歴史の中で、時代ごとの消費者の嗜好に合わせて原酒の構成や味わいの方向性は少しずつ変化しています。

しかし、その根底にある思想は変わることなく受け継がれてきました。

日本のウイスキー史を語る上で欠かすことのできない存在であり、多くの人にとってウイスキーの原体験となった「スタンダード」な一本と考えられます。

今なお多くの家庭やバーで愛され続ける、まさに日本の食卓に寄り添ってきたウイスキーです。

 

サントリー オールド 700ml 43度

 

年代特定の鍵「特級」とは何ですか?

年代特定の鍵「特級」とは何ですか?


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ウイスキーの年代を特定する上で、数ある手がかりの中でも最も分かりやすく、そして決定的な鍵となるのが「特級」という表示の有無です。

この一言が記載されているか否かで、そのボトルが生まれた時代を明確に二分することができます。

 

この「特級」とは、1989年(平成元年)4月1日に施行された酒税法の大幅な改正まで存在した「ウイスキーの級別制度」における最上位ランクを示しています。当時のウイスキーは、中身の品質、特にモルト原酒の混和率やアルコール度数によって厳密に「特級」「一級」「二級」の3つに分類されていました。

(出典:日本のビール・発泡酒・新ジャンルと税|ビール酒造組合

特級は、モルト原酒の含有率が最も高く、贅沢な造りであることを示す公的な証だったのです。

 

この制度は税金と密接に結びついており、特級ウイスキーには高い酒税が課せられていました。

そのため、販売価格も高価になり、庶民にとっては特別な日に楽しむ憧れの的でした。

贈答品としても最高級の品とされ、「特級」のラベルは単なる分類表示ではなく、品質とステータスを保証する権威の象徴でもあったのです。

多くの人が、この表示を見て「良いウイスキー」であると判断していました。

 

したがって、ボトルラベルの正面や肩ラベル、あるいは封緘紙のどこかに「特級」の文字がはっきりと記載されていれば、それは級別制度が廃止される1989年3月31日以前に製造・販売されたボトルであると明確に判断できます。

この法改正は、日本のウイスキー市場にとって大きな転換点であり、年代を区切る揺るぎない分岐点となります。

まずはお手元のボトルにこの表示があるかどうかを確認することが、年代特定の第一歩と言えるでしょう。

 

初期ボトルにある「寿」の意味は?

初期ボトルにある「寿」の意味は?


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1971年頃までのごく初期に製造されたサントリーオールドのボトルには、ラベルだけでなくボトルそのものにも年代を物語る大きな特徴があります。

それは、背面にガラスのレリーフ(浮き彫り)として刻まれた、漢字一文字の「寿」というエンブレムです。

このマークは、オールドの中でも最初期に作られたモデルであること示す、非常に重要な証となります。

 

サントリー オールド 寿 ウイスキー特級 760ml 43%

 

この印象的な「寿」の文字は、サントリーの旧社名である「株式会社壽屋(ことぶきや)」に直接由来するものです。

そもそも「寿」という漢字は、長寿や祝い事を意味する大変縁起の良い言葉であり、創業者・鳥井信治郎氏が自社の製品を通じて人々の喜びに貢献したいという願いが込められていました。

壽屋は1923年に鳥井氏によって大阪市で創業され、1963年に現在の「サントリー株式会社」へと社名を変更しました。

しかし、社名変更後もしばらくの間、長年かけて築き上げた品質への信頼とブランドの象徴として、この「寿」マークは同社の製品に使用され続けたのです。

 

このエンブレムを持つボトルは、現存数が極めて少なく、半世紀以上前のウイスキーが良好な状態で残っている例は稀です。

そのため、コレクター市場では特に希少価値が高いものとして扱われています。

もしご自宅や思わぬ場所でこの「寿」が刻まれたボトルを見つけた場合、それは単に古いウイスキーというだけでなく、日本の洋酒文化の黎明期を伝える、昭和の歴史が詰まった大変貴重な一本である可能性が高いと考えられます。

 

歴代ラベルと旧ボトルのデザイン変遷

歴代ラベルと旧ボトルのデザイン変遷


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サントリーオールドは70年以上の長い歴史の中で、時代の移り変わりや企業としての歩みを反映し、細かなデザイン変更を繰り返してきました。

一見すると同じに見えるボトルも、細部を注意深く観察することで、そのボトルが生まれた時代を特定することが可能です。

ここでは、特に分かりやすい変遷のポイントとして「住所表記」と「品質表示」の2点に絞って詳しく解説します。

 

【レトロ:特級表示】サントリー オールド シルバーラベル 43度 700ml (箱なし)

 

住所表記の移り変わり

ボトルラベルに印刷されている本社所在地の表記は、改変の少ない客観的な情報であるため、年代を特定する上で非常に有力な手がかりとなります。

サントリーの本社移転や行政による住居表示の変更に伴い、住所表記は大きく3つの時期に分けられます。

 

「大阪市北区中之島2丁目」表記(~1971年3月)

これはサントリーオールドの中でも最も初期のボトルに記載されている住所表記です。

この住所が記されている場合、前述した背面の「寿」マークが刻まれたボトルであると推定でき、コレクターズアイテムとしても特に価値が高い年代と考えられます。

 

「大阪市北区堂島浜通2丁目」表記(1971年4月~1979年)

サントリーの事業拡大に伴う本社機能の移転により、住所表記がこちらに変更されます。

この時期は日本の高度経済成長期とも重なり、デザイン面でも大きな転換点を迎えます。

背面のエンブレムが伝統的な「寿」から、品質保証の証である「向かい獅子」へと切り替わったのがこの時代です。

 

「大阪市北区堂島浜2丁目」表記(1979年~現在)

これは本社が再び移転したわけではなく、行政による住居表示の変更によって地名から「通」の文字がなくなったものです。

1979年から現在に至るまで長期間使用されているため、この住所だけでは年代を絞り込むことは困難ですが、他の手がかりと組み合わせることで、より詳細な時期を特定していくことになります。

 

サントリー「オールド」年代別"飲み比べ"!オールドボトルの年代判別方法教えます!

 

品質表示(クオリティ表記)の変化

ラベル中央に英語で記載されている品質表示も、その時代の製品コンセプトやマーケティング戦略を反映しており、年代によって細かく異なります。

 

「A SUPERIOR QUALITY」 / 「FINEST OLD LIQUEUR」

「寿」マークが見られた時代の、ごく初期のボトルに採用されていた表記です。

当時の高級品としての自信と風格が感じられます。

なお、「LIQUEUR」は当時の酒税法上の分類表記であり、現在のリキュールとは異なります。

 

「GENUINE QUALITY」

1970年代、「堂島浜通」時代に主に見られる表記です。

「正真正銘の品質」を意味し、製品への実直な自信を表現しています。

 

「SPECIAL QUALITY」

1980年頃から特級表示がなくなる1989年頃まで使用されていた表記で、「特別な品質」を意味します。

特級制度の最盛期を象徴する、シンプルかつ力強い表現です。

 

「Mild & Smooth」 / 「Rich & Mellow」

1990年代以降、級別制度が廃止されてからは、品質のランクを示す言葉から、味わいの特徴を直接的に伝える表現へと変化します。

消費者の好みの多様化に対応していく姿勢の表れと考えられます。

 

これらの変遷を組み合わせることで、より正確に年代を絞り込むことができます。

情報をまとめたものが以下の表です。

表1:サントリーオールドの主なデザイン変遷
推定年代「特級」表示住所表記背面エンブレム容量
~1971年頃あり中之島寿760ml
1971年~1979年頃あり堂島浜通向かい獅子760ml
1979年~1989年頃あり堂島浜向かい獅子760ml/750ml
1989年~1994年頃なし堂島浜向かい獅子/響750ml
1994年~2008年頃なし堂島浜700ml
2008年~現在なし堂島浜向かい獅子700ml

希少な年代物や90年代のボトル

希少な年代物や90年代のボトル


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一般的に、ウイスキーは古い年代物ほど希少価値が高まる傾向にあります。

サントリーオールドにおいても、前述の「寿」マークボトルや「中之島」表記のボトルは、製造から半世紀以上が経過しており、その多くが当時既に消費されてしまったことや、現存していてもラベルの劣化や中身の蒸発(液減り)が進んでいる場合が多いため、良好な状態で残っているものは特に希少とされています。

これらは単なる古酒としてだけでなく、日本の洋酒文化の歩みを物語る歴史的資料としての価値も持ち合わせています。

 

また、それらとは異なる視点から特徴的なのが1990年代のボトルです。

この時期はバブル経済崩壊後の、いわゆる「ウイスキー冬の時代」と重なります。

国内のウイスキー消費が落ち込み、消費者の嗜好も多様化する中で、市場は大きな変革期を迎えていました。

サントリーオールドもこの流れに対応し、「Mild & Smooth」といった味わいのコンセプトをラベルに掲げ、従来の重厚なイメージから、より軽やかで飲みやすい現代的な味わいを追求していた時期です。

(出典:オールドの歩み|サントリー

 

この時代のボトルは、80年代以前のスモーキーさやシェリー樽由来の豊かな甘みが特徴であった特級ボトルとは、香味のプロファイル(構成)が明らかに異なります。

そのため、どちらが優れているという単純な比較ではなく、異なる時代の思想や味わいの哲学を飲み比べる対象として非常に興味深い存在です。

特級時代のオールドが持つ「歴史的価値」とは別に、90年代のオールドはブランドの「進化と適応の歴史」を感じさせてくれる、もう一つの魅力的な古酒と言えるでしょう。

 

特徴で比較するサントリーオールド年代見分け方

特徴で比較するサントリーオールド年代見分け方


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ここでは、年代による価格の違いを生む要因や、兄弟ボトル「リザーブ」との比較について解説します。

オールドの市場価値や他製品との違いを知りたい方は参考にしてください。

 

ポイント

  • 年代による価格の違いを比較
  • 1970年代と80年代の価格差
  • 兄弟ボトル「リザーブ」年代見分け方
  • リザーブの特級と初期ボトルの違い
  • サントリーオールドの年代を見分ける方法をおさらい

 

年代による価格の違いを比較

年代による価格の違いを比較


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サントリーオールドの価格は、製造された年代によって大きく異なります。

ここで大切なのは、現行品が持つ「飲料としての価値」と、古いボトルが持つ「古酒やコレクターズアイテムとしての価値」は、全く別の基準で評価されるという点です。

これから解説する価格の違いは、あくまで後者の市場における評価であり、飲料としての品質の優劣を直接示すものではありません。

 

古酒やヴィンテージアイテムの価格に影響を与える主な要因は、美術品やアンティーク品と同じく、主に以下の3つの要素が複雑に絡み合って形成されます。

 

希少性

価格を決定する最も基本的な要因は、そのボトルが現存する数の少なさ、つまり希少性です。

例えば、日本の高度経済成長期に大量に生産・消費された1980年代のボトルに比べ、ウイスキー自体がまだ貴重品であった1960年代以前のボトルは、現存する数が圧倒的に少ないと考えられます。

飲まれてしまったもの、廃棄されたもの、長い年月の間に破損してしまったものを除き、良好な状態で現存するボトルはごく僅かです。

そのため、数が少ない年代のボトルほど、おのずと希少価値は高まる傾向にあります。

 

歴史的価値

そのボトルが持つ「物語」や背景も、価値を大きく左右します。

前述の「特級」表示や「寿」マークは、単なるデザインではなく、それぞれが日本の酒税法の歴史やサントリーの黎明期を象徴する、歴史的な証人です。

このような明確な特徴を持つボトルは、コレクターからの人気が高まりやすく、評価に繋がりやすいと考えられます。

また、大阪万博(EXPO'70)を記念したボトルや、毎年発売される干支(えと)をテーマにしたボトルなど、特定の時代や出来事を記念して作られた限定品も、独自の歴史的価値を持ちます。

 

保存状態

同じ年代のボトルであっても、その保存状態によって評価は大きく変わります。

チェックすべきポイントは多岐にわたります。

 

ラベルの状態

破れやシミ、カビがなく、文字がはっきりと読める状態が理想とされます。

綺麗なラベルは、湿度の低い良好な環境で保管されていた証拠にもなります。

 

液面の低下

長期間保管されていると、コルクやキャップの隙間から中身が少しずつ蒸発し、液面が低下することがあります。

この液面の低下が少ないほど、密封性が保たれ、中身の品質も良好である可能性が高いと判断されます。

 

付属品の有無

発売当時に付属していた箱やカートン、冊子などが揃っている「完品」の状態は、コレクターにとって非常に魅力的です。

特に箱はボトルを保護する役割も担うため、箱自体の状態も評価の対象となります。

 

これらの理由から、同じサントリーオールドであっても、年代、歴史的背景、そして一本一本の保存状態によって取引される価格には大きな幅があることを理解しておくことが大切です。

ここに記載する情報は、あくまで価値を判断する要因を解説するものであり、特定の価格を保証するものではない点にご留意ください。

 

1970年代と80年代の価格差

1970年代と80年代の価格差


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特にコレクター市場で活発に比較・取引の対象となるのが、1970年代と1980年代に流通した特級表示ボトルです。

両者は同じ「特級」という栄誉あるランクを冠したボトルですが、その評価や市場での価格には差が見られることがあります。

この違いは、それぞれのボトルが持つ歴史的背景や希少性、そして味わいの個性から生まれています。

 

1970年代に製造されたボトルは、ラベルの住所表記が「大阪市北区堂島浜通2丁目」となっているのが大きな特徴です。

日本の高度経済成長を象徴する時代に作られたこのボトルは、より古い時代の原酒構成を色濃く反映していると考えられています。

ウイスキー愛好家の間では、この年代のオールドはより骨太で、スモーキーな香りが際立つ個性的な味わいであったと評価されることがあります。

また、単純に製造年代が古い分、現存するボトルの絶対数が80年代のものより少ないため、希少性の観点から高く評価されることが多いようです。

 

一方、1980年代のボトルは、日本がバブル経済へと向かう中で、贈答品としての需要がピークに達し、国内で非常に多く流通しました。

そのため、現在でも古酒市場で比較的見つけやすく、入手しやすいという側面があります。

しかし、決して価値が低いわけではありません。この時代のオールドの、シェリー樽由来の華やかさと円熟したまろやかさが両立した完成度の高い味わいを「最も記憶に残るクラシックな味」として好むファンも多く、安定した人気を保っています。

「特級時代のオールドを一度飲んでみたい」と考える人にとって、最も現実的な選択肢となるのがこの年代のボトルです。

 

要するに、両者の価格差は、絶対的な品質の優劣ではなく、市場の需要と供給のバランスによって変動します。

コレクターが「希少性」や「歴史的ロマン」を重視すれば70年代のボトルが、多くの愛好家が「思い出の味」や「入手しやすさ」を求めれば80年代のボトルが、それぞれ評価される構図です。

したがって、価格は常に変動する可能性があり、あくまで参考情報として捉えることが大切です。

 

兄弟ボトル「リザーブ」年代見分け方

兄弟ボトル「リザーブ」年代見分け方


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サントリーオールドの歴史を語る上で、しばしば比較対象として登場するのが、1969年(昭和44年)に発売された「サントリーリザーブ」です。

大阪万博の前年という、日本が国際的な舞台へと躍進する活気あふれる時代に誕生しました。

オールドより少し上の価格帯で、「ちょっと贅沢なウイスキー」という新しい市場を開拓した、まさにオールドの「兄弟」と呼ぶにふさわしいボトルです。

その洗練された味わいは多くの人々を魅了し、リザーブにも年代ごとの特徴が存在します。

リザーブの年代を見分けるポイントは、オールドと同様にボトルの細部に宿っています。

主なチェックポイントは以下の通りです。

 

サントリー スペシャルリザーブ ウイスキー 760ml 43% 黒ラベル 現行前モデル

 

サントリーリザーブ特級760ml43度初期ボトル

 

ボトル形状の変遷

リザーブのデザインは、その時代のモダンさを色濃く反映しています。

初期のボトルは、全体的に角張った四角い形状をしており、シャープで男性的な印象を与えます。

これは当時のデザインの流行を取り入れたもので、伝統的な丸瓶のオールドとは明確な差別化が図られていました。

しかし、1980年代後半から90年代にかけて、時代の美的感覚の変化に合わせるように、肩のラインがなだらかになり、全体的に丸みを帯びた優雅な形状へと変化していきます。

 

キャップの色と象徴性

キャップの色は、特に初期ボトルを特定する上で非常に分かりやすいポイントです。

発売当初から1980年代前半頃までのボトルには、印象的な白いキャップが採用されていました。

この「白キャップ」は、初期リザーブの象徴としてコレクターや愛好家の間で広く知られています。

その後、より高級感を演出するためか、オーソドックスで重厚な黒いキャップへと仕様が変更されました。

 

ラベルから読み取る情報

ラベルデザインも年代を追うごとに細かな変更が加えられています。

中でも大きな変化は、1990年代後半に、ラベルに発売年である「Since 1969」という文字が追加されるようになった点です。

これは、ウイスキー市場が成熟し、ブランドの持つ歴史や伝統が価値として重視されるようになったことの表れと考えられます。

この表記があれば、比較的新しい年代のボトルであると判断できます。

 

もちろん、オールドと同様に1989年以前のボトルには「特級」表示があり、これが年代を特定する最も大きな手がかりとなります。

これらのボトル形状、キャップの色、ラベルデザインといった複数の情報を組み合わせることで、お手元のリザーブがどの時代に生まれたものなのか、より正確に推定することが可能になります。

 

リザーブの特級と初期ボトルの違い

リザーブの特級と初期ボトルの違い


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サントリーリザーブの特級表示ボトルの中でも、特に初期に製造されたモデルは、その希少性と個性的な味わいからコレクターやウイスキー愛好家から熱い視線を集めています。

同じ特級ボトルでありながら、その中には明確な世代の違いが存在し、それぞれが異なる魅力を持っています。

【時代の違う】サントリーリザーブ3種飲み比べ!

 

前述の通り、最も分かりやすく象徴的な違いはキャップの色です。

白いキャップを持つ、通称「白キャップ」と呼ばれるボトルは、1970年代から80年代前半にかけて流通した初期モデルの動かぬ証です。

この時代の角張ったボトルデザインと白いキャップの組み合わせは、発売当初のモダンで斬新なリザーブの姿を今に伝えています。

その後、1980年代半ばから特級表示が終わる1989年までは黒いキャップに変更されており、同じ特級ボトルであっても「白キャップ」の方が製造年代が古く、希少性が高いとされています。

 

さらに、味わいに関しても違いがあると言われています。

「白キャップ」時代のボトルは、キーモルトである山崎の個性がより強く表れており、しっかりとした飲みごたえと、当時ならではのスモーキーな個性がより際立っていた、と評価するファンもいます。

一方で、後の「黒キャップ」時代になると、味わいはより洗練され、バランスの取れたまろやかな酒質へと変化していったと考えられています。

これは、より多くの人に受け入れられる味わいを目指した、ブランドの進化の過程と捉えることができるでしょう。

 

このように、サントリーオールドとサントリーリザーブ、それぞれの変遷を追いかけることは、単にボトルの年代を当てるだけでなく、サントリーという企業のウイスキーづくりの哲学や、時代の嗜好の変化を読み解くことにも繋がります。

伝統を守りつつ進化を続けたオールドと、常に時代のモダンさを追求したリザーブ。二つの「兄弟」の歴史を深く理解することで、日本のウイスキーが歩んできた道程がより鮮明に見えてくるはずです。

 

サントリーオールドの年代を見分ける方法をおさらい

記事のポイント まとめです

  • サントリーオールドは1950年発売のロングセラーウイスキー
  • ボトル形状から「だるま」の愛称で親しまれている
  • 年代特定の最大の鍵は1989年3月以前の「特級」表示
  • 「特級」があれば1989年以前のボトルと断定できる
  • 1971年頃までの初期ボトルには背面に「寿」のエンブレムがある
  • 「寿」マークはサントリーの旧社名「壽屋」に由来する
  • 住所表記の変遷も年代特定の有力な手がかりとなる
  • 住所は「中之島」→「堂島浜通」→「堂島浜」と変化した
  • 「中之島」表記は1971年までの最も古いタイプ
  • 「堂島浜通」表記は1970年代の特徴
  • ラベル中央の品質表示も時代によって異なる
  • 容量は760mlから750ml、そして現在の700mlへと変化した
  • 90年代には「Mild & Smooth」などの表記が見られる
  • 価格は希少性や歴史的価値、保存状態で変動する
  • 兄弟ボトル「リザーブ」もキャップの色や形状で年代特定が可能

【参考情報一覧】

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