「サントリーオールド」が、シングルモルトの代表格「山崎」に似ているという話を聞いたことはありませんか。価格帯も異なる二つのウイスキーですが、なぜそのような噂が立つのでしょうか。この記事では、そもそもサントリーオールドって何?という基本的な情報から、一方のサントリー山崎とは何ですか?という疑問まで、両者のプロフィールを丁寧に解説します。
味わいの要サントリーオールドキーモルトに隠された秘密や、実際のサントリーオールドはどんな味ですか?という具体的な香味の特徴に迫ります。また、「サントリーオールドはまずい」は本当?といった気になる評判や、噂の「ウイスキーじゃない」説を検証し、サントリーオールドに混ぜ物はあるのか?という点も明らかにします。
さらに、響と山崎どっちが高級ウイスキー?といった他の銘柄との比較、オールドとサントリーローヤルの関係性にも触れながら、人気のサントリーオールドハイボールの魅力まで、多角的に二つのウイスキーの関係性を紐解いていきます。
この記事を読むことで、以下の点が明らかになります。
記事のポイント
- サントリーオールドと山崎の基本的な特徴と歴史
- 二つのウイスキーが「似ている」と言われる具体的な理由
- 香りや味わいにおける共通点と明確な違い
- それぞれのウイスキーの楽しみ方とコストパフォーマンス
サントリーオールドは山崎と本当に似てる?

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この章では、サントリーオールドと山崎の基本的な特徴や歴史を解説します。
両者が「似ている」と言われる核心的な理由や、オールドの具体的な味わい、そして「まずい」という評判の真相を知りたい方はぜひ参考にしてください。
ポイント
- そもそもサントリーオールドって何?
- 一方のサントリー山崎とは何ですか?
- 味わいの要サントリーオールドキーモルト
- 実際のサントリーオールドはどんな味ですか?
- 「サントリーオールドはまずい」は本当?
そもそもサントリーオールドって何?

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サントリーオールドは、1950年(昭和25年)にサントリーの前身である壽屋から発売された、日本のウイスキー史を語る上で欠かせない、歴史あるブレンデッドジャパニーズウイスキーです。
戦後復興期の日本において、「日本の風土と日本人の味覚に合った、世界に誇れるウイスキーを」という創業者・鳥井信治郎の情熱の結晶として誕生しました。
発売当時、本格的な国産ウイスキーはまだ珍しく、オールドは品質の高さから瞬く間に市場を席巻します。
その黒く丸みを帯びた特徴的なボトル形状から、多くの人々に「ダルマ」や「タヌキ」といった愛称で親しまれました。
このデザインは、縁起物であるダルマをモチーフにしており、日本の文化に根差したウイスキーであることを象徴しています。
高度経済成長期には、少し贅沢な晩酌や大切な人への贈り物として選ばれる「高級ウイスキー」の象徴となり、多くの家庭や飲食店で特別な日を彩る一本として愛飲されました。
ブレンドされているウイスキーは、個性を与えるモルト原酒と、味わいをまとめ、飲みやすさを生み出すグレーン原酒から構成されています。
これらをサントリーのブレンダーが長年の経験と技術で調和させることで、オールドならではのまろやかでバランスの取れた味わいが生まれるのです。
70年以上にわたり、日本のウイスキー文化の発展と大衆化を支え続けてきたサントリーオールドは、まさに時代を超えて愛される定番の一本と言えるでしょう。
サントリー オールド 700ml 43度
一方のサントリー山崎とは何ですか?

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サントリー山崎は、1984年に発売された、日本が世界に誇るシングルモルトジャパニーズウイスキーです。
シングルモルトとは、単一の蒸溜所で作られたモルト(大麦麦芽)原酒のみをヴァッティング(ブレンド)して瓶詰めしたウイスキーを指し、その蒸溜所の個性が色濃く反映されるのが特徴です。
山崎が生まれた1980年代の日本ではブレンデッドウイスキーが主流であり、シングルモルトというカテゴリーはほとんど知られていませんでした。
そのような時代に、「山崎」は日本のウイスキーの品質の高さと個性を世界に示すという、サントリーの強い意志のもとに誕生しました。
山崎は、京都府にある日本最古のモルトウイスキー蒸溜所「山崎蒸溜所」の原酒のみを使用しています。
この蒸溜所は、名水の地として知られ、茶人・千利休が茶室を設けたほどの良質な水に恵まれた場所にあります。
また、温暖で湿潤な気候は、ウイスキーの熟成、特に樽の中での原酒の呼吸を促し、深く複雑な香味を育むのに理想的な環境です。
蒸溜所では、木桶とステンレスという材質の異なる発酵槽、形状の違う複数の蒸溜釜、そしてアメリカンオーク樽、シェリー樽、さらには日本固有のミズナラ樽といった多種多様な樽を使い分けることで、極めて多彩な個性を持つ原酒を作り分けています。
これらの個性豊かな原酒を、サントリーのブレンダーが長年の経験と卓越した技術で巧みにヴァッティングすることにより、山崎ならではの華やかで重層的な味わいが生まれるのです。
味わいの要サントリーオールドキーモルト

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サントリーオールドと山崎が似ていると言われる最大の理由、それはブレンドの核となる「キーモルト」に隠されています。
キーモルトとは、ブレンデッドウイスキーの骨格となる香味を決定づける、中心的な役割を担うモルト原酒のことです。
多くのウイスキー専門サイトや専門家の間では、サントリーオールドのキーモルトは「山崎蒸溜所のシェリー樽原酒」であると解説されています。
シェリー樽原酒とは、スペインの酒精強化ワインであるシェリーを熟成させていた樽を使い、ウイスキー原酒を熟成させたものです。
この樽で熟成させることで、ウイスキーにはレーズンやドライフルーツを思わせる濃厚な甘さと、華やかで芳醇な香りが溶け込みます。
この山崎シェリー樽原酒は、シングルモルト山崎の香味を構成する上でも非常に重要な役割を担う原酒の一つです。
つまり、オールドと山崎は、その心臓部とも言える部分で、同じ山崎蒸溜所で育まれた、同じシェリー樽由来の原酒という"共通のDNA"を持っていると考えられます。
この山崎シェリー樽原酒がオールドの香味の骨格を形成しているため、ブレンデッドウイスキーであるオールドの中に、シングルモルト山崎が持つ華やかさや甘やかさの片鱗をはっきりと見出すことができるのです。
ただし、このキーモルトに関する具体的な情報は、2025年9月12日時点でサントリーの公式サイトに明記されているわけではなく、長年ウイスキーに携わる専門家たちの解説に基づいているという点はご留意ください。
実際のサントリーオールドはどんな味ですか?

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サントリーオールドの味わいは、長年にわたって多くの人に愛されてきた、まろやかでバランスの取れた甘みが大きな特徴です。
ウイスキーを飲み慣れていない方でも親しみやすい、優しさと深みを兼ね備えた香味設計になっています。以下、香り、味わい、余韻に分けて具体的に解説します。
香り
グラスに注ぐと、まず感じられるのはアルコールの刺激が非常に穏やかであることです。
ツンとした感触はなく、シェリー樽熟成の原酒に由来する、プラムやレーズン、熟した果実のような甘く芳醇な香りが豊かに立ち上ります。
少し時間を置くと、その奥からバニラやカラメルのような甘いニュアンスと、ほのかに樽のウッディな香りが顔を覗かせます。
全体として派手さはありませんが、心を落ち着かせてくれるような、穏やかで深みのある香りが楽しめます。
味わい
口に含むと、角が取れた非常に滑らかで、シルクのような口当たりが広がります。
味わいの中心は、蜂蜜や黒糖を思わせる優しい甘さです。苦みやピリッとしたスパイス感は控えめで、モルト原酒の持つ豊かな甘みと、それを支えるグレーン原酒のクリーンな味わいが絶妙なバランスで調和しています。
ブレンデッドウイスキーならではの飲みやすさが追求されており、ストレートでゆっくりと味わっても、そのまろやかさを心地よく感じることができます。
余韻
フィニッシュ(余韻)は、比較的すっきりとしており、長く尾を引くタイプではありません。
しかし、飲み込んだ後には、心地よい甘い香りと樽由来のかすかなビターさが鼻に抜け、口の中をさっぱりとさせてくれます。
このキレの良さが、サントリーオールドの大きな魅力の一つです。
味わいが口の中に残りすぎないため、次の一杯や食事の味を妨げません。
揚げ物などの洋食から繊細な和食まで、幅広い料理と合わせやすい食中酒としてのポテンシャルも高く評価されています。
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「サントリーオールドはまずい」は本当?

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「サントリーオールドはまずい」という評価は、時折目にすることがありますが、これはいくつかの側面から多角的に考える必要があります。
結論から言えば、これは個人の好みの問題や、製品に対する期待値のズレから生じることが多いようです。
「サントリーオールドまずい」は誤解?味の真相と歴史を解説の記事では、サントリーオールドまずいについて深堀していますので、併せてご覧ください。
ウイスキーの多様な個性と個人の好み
まず、ウイスキーには非常に多様な香味のスタイルが存在します。
例えば、スコットランドのアイラ島で作られるウイスキーのように、正露丸にも例えられるような力強いピート香やスモーキーさを特徴とするものもあります。
そういった個性的な味わいを好む方にとっては、サントリーオールドの持つ穏やかでシェリー樽由来の甘口な味わいは、個性が弱く「物足りない」あるいは「まずい」と感じられてしまう可能性があります。
これは品質の問題ではなく、味わいの方向性の違いに起因するものです。
時代と共に変化してきた味わい
また、サントリーオールドは70年以上の長い歴史を持つウイスキーであり、時代と共に香味の設計が変化してきた背景も考慮に入れるべきです。
発売当初や、かつての特級表示時代(1989年まで)のボトルは、現在よりもスモーキーな風味が強かったと言われています。
そのため、昔の味わいに深い愛着を持つ長年のファンからすると、現在のまろやかでスムースな味わいが「昔と違う」「軽くなった」と感じられ、それがネガティブな評価に繋がっている側面も考えられます。
価格帯と期待値のバランス
さらに、価格帯とそれに対する期待値も重要なポイントです。
サントリーオールドは、日常的に楽しめるスタンダードクラスのウイスキーとして位置づけられています。
これを、数倍の価格がするプレミアムなシングルモルトウイスキー(例えば「山崎12年」など)と同じ土俵で比較してしまうと、複雑さや余韻の長さといった点で物足りなさを感じるのは当然かもしれません。
しかし、その価格帯で提供される品質としては、非常にバランスが取れており、コストパフォーマンスに優れた一本であるという評価が一般的です。
むしろ、現在のオールドはアルコールの刺激が少なく、非常にまろやかで飲みやすいため、ウイスキーをこれから楽しみたいという初心者の方にもおすすめしやすい香味と言えます。
ストレートやロックだけでなく、特にハイボールにすることでその甘みと香りが一層引き立つという意見も多く、その楽しみ方の広さも魅力の一つです。
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サントリーオールドは本当にうまい?味と評判を徹底解説の記事では、サントリーオールドがホントに旨いのかについて、深堀していますので併せてご覧ください。
サントリーオールドは山崎に似てるが違いも

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ここでは、オールドに関する「ウイスキーじゃない」という噂の真相や、響やローヤルといった他の銘柄との違いを比較します。
おすすめの飲み方から記事の総括まで、二つのウイスキーの関係性をより深く理解したい方は読み進めてみてください。
ポイント
- 噂の「ウイスキーじゃない」説を検証
- サントリーオールドに混ぜ物はあるのか?
- 響と山崎どっちが高級ウイスキー?
- オールドとサントリーローヤルの関係性
- 人気のサントリーオールドハイボールの魅力
- 総括:サントリーオールドは山崎に似てる?
噂の「ウイスキーじゃない」説を検証

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「サントリーオールドはウイスキーではない」という噂や疑問は、過去の日本の酒税法と、近年に制定された「ジャパニーズウイスキー」の厳格な定義に関する誤解から生じていると考えられます。
結論から申し上げると、この噂は明確に誤りです。
噂が生まれた背景
かつて、日本の酒税法におけるウイスキーの定義は非常に寛容でした。
そのため、海外から輸入した原酒を国内でブレンドしたものや、一部に醸造アルコールが使用されている製品も「ウイスキー」として販売することが可能でした。
このような状況が長年続いたため、消費者の間で「日本のウイスキーには様々なものがある」という認識が広がり、一部の製品に対して懐疑的な見方が生まれたのが、この噂の背景にあります。
ジャパニーズウイスキーの新たな基準
しかし、世界的なジャパニーズウイスキーの人気と評価の高まりを受け、その品質と信頼性を守るため、2021年4月から日本洋酒酒造組合は「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を施行しました。
これは、消費者が安心して本物のジャパニーズウイスキーを選べるようにするための、自主基準です。
この基準では、ジャパニーズウイスキーと表示するために、以下のような厳格な条件をクリアする必要があります。
原材料
麦芽、穀類、そして日本国内で採水された水のみを使用すること。
製造工程
糖化、発酵、蒸溜を必ず日本国内の蒸溜所で行うこと。
熟成
700リットル以下の木製樽に詰め、日本国内で3年以上貯蔵すること。
アルコール度数
瓶詰め時のアルコール度数が40%以上であること。
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サントリーはこの基準の策定にも深く関わっており、自社製品の品質を保証しています。
サントリーオールドの原材料は、ラベルに記載の通り「モルト、グレーン」であり、サントリーが国内で製造・熟成させたモルト原酒とグレーン原酒のみが使用されています。
したがって、現在のサントリーオールドは、この厳格な基準をすべて満たした、正真正銘のジャパニーズウイスキーなのです。
サントリーオールドに混ぜ物はあるのか?

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前述の通り、現在のサントリーオールドは「ジャパニーズウイスキー」の厳格な定義に則って製造されており、ウイスキー以外のアルコールなどの「混ぜ物」は一切ありません。
この点は、製品のラベルに記載されている原材料表示が明確に証明しています。
ラベルが示す二つの原材料
サントリーオールドの原材料は「モルト、グレーン」と表記されています。
これは、以下の二種類のウイスキー原酒のみをブレンドして作られていることを意味します。
モルトウイスキー原酒
大麦麦芽のみを原料とし、単式蒸溜釜で蒸溜されるウイスキーです。
豊かな香りや味わいの複雑さといった、ウイスキーの個性の核となる部分を生み出します。
サントリーオールドには、山崎蒸溜所などで作られた貴重なモルト原酒が使用されています。
グレーンウイスキー原酒
トウモロコシなどの穀類を主原料とし、連続式蒸溜機で蒸溜されるウイスキーです。
穏やかでクリーンな味わいを持ち、ブレンド全体に滑らかさや調和をもたらす役割を担います。
かつて、日本のウイスキー市場にはコストを抑えるために醸造アルコール(スピリッツ)などを添加した製品も存在した時代がありましたが、現在のサントリーオールドはそのような製法とは一線を画します。
サントリーが長年培ってきたブレンド技術を駆使し、個性豊かなモルト原酒と、それを優しく支えるグレーン原酒のみを調和させることで、あのまろやかな味わいを実現しているのです。
カラメル色素について
なお、ウイスキーの色の均一性を保つ目的で、着色料としてカラメル色素が使用されることがありますが、これはスコッチウイスキーをはじめ世界中のウイスキーで認められている添加物であり、品質を損なう「混ぜ物」とは性質が異なります。
現在のサントリーオールドは、品質や定義に関して一切懸念する必要はないと言えるでしょう。
出典:サントリーウイスキーオールド 700ml瓶 商品情報|サントリー
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サントリーオールド混ぜ物の噂は本当?歴史と今を徹底解説の記事では、オールドに混ぜ物はあるのか?について深堀していますので、併せてご覧ください。
響と山崎どっちが高級ウイスキー?

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響と山崎は、いずれもサントリーが世界に誇るプレミアムウイスキーですが、その哲学、製法、そして市場での位置づけや価格帯は異なります。
どちらが「高級」かを一概に決めるのは難しいですが、一般的には、サントリーの製品ラインナップにおいて、ブレンデッドウイスキーの最高峰として響が位置づけられています。
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サントリーシングルモルトウイスキー山崎シェリーカスク 【2016】48%700ml
コンセプトと製法の違い
山崎は、単一の山崎蒸溜所で作られたモルト原酒のみを使用した「シングルモルト」ウイスキーです。
その蒸溜所の土地や風土、製法といった個性を最大限に表現することを目指して作られています。
いわば、一つの素材の究極の姿を追求する職人のような存在です。
一方、響は山崎や白州蒸溜所のモルト原酒と、知多蒸溜所のグレーン原酒を精緻にブレンドした「ブレンデッド」ウイスキーです。
響のコンセプトは「調和」。日本の四季や美意識を体現するため、サントリーが保有する80万個以上もの樽の中から、チーフブレンダーが数十種類もの原酒を厳選し、オーケストラの指揮者のようにそれぞれの個性を重ね合わせ、一つの完璧なハーモニーを奏でるように作られます。
この手間のかかる製法と芸術的なコンセプトから、響はサントリーのブレンディング技術の粋を集めた最高傑作とされています。
市場価値と希少性
希望小売価格で比較した場合、特に「響21年」と「山崎18年」のような同程度の熟成年数のボトルでは、響の方が高価に設定されている傾向があります。
ただし、近年のジャパニーズウイスキーの世界的な需要急増により、状況は複雑化しています。
山崎も響も数々の国際的な賞を受賞しており、その評価は非常に高いです。
特に「山崎18年」や「山崎25年」、あるいは「響21年」「響30年」といった長期熟成ボトルは、生産量が需要に全く追いついておらず、極めて入手困難な状況です。
そのため、市場での実際の取引価格は希望小売価格を大幅に上回り、ボトルによっては数十万円から数百万円になることも珍しくありません。
このように、単純な優劣や序列をつけることは難しく、どちらも世界中のウイスキー愛好家が探し求める、至高の逸品であることに変わりはありません。
オールドとサントリーローヤルの関係性

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サントリーローヤルは、サントリーの創業者であり初代マスターブレンダーである鳥井信治郎が、その生涯の集大成として作り上げたブレンデッドウイスキーです。
1960年、サントリーの前身である壽屋の創業60周年を記念して発売されました。
1950年に登場したオールドから見て、ちょうど10年後に市場に投入された、明確な上位ブランドという関係性になります。
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誕生の背景と位置づけ
オールドが戦後日本の復興期に「暮らしのなかの豊かな時間」を提供したのに対し、ローヤルは高度経済成長期を迎え、より成熟した市場に向けて作られました。
鳥井信治郎が追い求めた「日本人の繊細な味覚に合うウイスキー」の、一つの完成形がローヤルであると言われています。
そのため、ブレンドにはより長期熟成された貴重な山崎モルト原酒などが贅沢に使用され、オールドよりも一段上の価格帯と品質が設定されました。
香味とデザインに込められた想い
香味の方向性も明確に異なっています。
オールドがシェリー樽由来の甘みを主体とした、親しみやすくまろやかな味わいであるのに対し、ローヤルは熟した果実のような華やかな香りに加え、甘さとほろ苦さが重なり合う、より複雑で重厚な味わいを持ちます。
余韻も長く、しっかりとした満足感が得られます。
この違いはボトルのデザインにも象徴されています。
オールドの親しみやすい「ダルマ」の形状に対して、ローヤルのボトルはウイスキーの熟成の頂点を示す"栓"をモチーフに、漢字の「酉」をかたどっています。
「酉」は十二支の一つであると同時に、「酒」という文字の部首(つくり)でもあり、まさにサントリーのウイスキー造りの精神が込められた特別なデザインなのです。
項目 | サントリーオールド | サントリーシングルモルトウイスキー山崎 |
---|---|---|
ウイスキー種別 | ブレンデッドジャパニーズウイスキー | シングルモルトジャパニーズウイスキー |
主要原材料 | モルト、グレーン | モルト |
主な蒸溜所 | 山崎蒸溜所、白州蒸溜所、知多蒸溜所(非公開) | 山崎蒸溜所 |
アルコール度数 | 43% | 43% |
希望小売価格(税抜) | 1,880円 | 4,500円 |
香味の核 | シェリー樽由来の甘くまろやかな味わい | 多彩な原酒が織りなす複雑で華やかな香味 |
※価格は2025年9月時点のサントリー公式サイトによるものです。
人気のサントリーオールドハイボールの魅力

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サントリーオールドはストレートやロックでも十分に楽しめますが、ハイボールにすることで、その魅力が一層際立ち、新たな表情を見せてくれます。
日本の食文化にも深く根付いたハイボールという飲み方は、オールドの個性を引き出す上で非常に優れた選択肢です。
炭酸が引き出す華やかな香味
ハイボールの魅力は、炭酸の気泡がウイスキーの持つ繊細な香りを弾けさせ、立ち上らせる点にあります。
オールドが持つシェリー樽由来のプラムやレーズンのような華やかで甘い香りは、炭酸によって爽やかになりながらも、より鮮明に感じることができます。
また、冷やすことで口当たりがさらに滑らかになり、オールドの持ち味であるまろやかさが一層引き立ちます。
ウイスキーのアルコール感が和らぐため、普段あまりウイスキーを飲まない方でも親しみやすくなります。
食事を引き立てる万能性
味わいがまろやかでバランスが取れているオールドのハイボールは、食事の味を邪魔することなく、むしろ引き立てる万能な食中酒として活躍します。
炭酸の爽快感が口の中の油分をさっぱりと洗い流してくれるため、唐揚げやソーセージ、フライドポテトといった洋食との相性は抜群です。
それだけでなく、醤油と砂糖を使った甘辛い味付けとも良く合います。
例えば、タレの焼き鳥や豚の角煮、すき焼きといった和食と合わせると、オールドの持つ甘みが料理のコクと調和し、お互いの美味しさを高め合います。
美味しい作り方のコツ
ご家庭で本格的なオールドハイボールを楽しむための、簡単なコツをご紹介します。
ポイント
- グラスを冷やす
まずはグラスを冷凍庫や氷でキンキンに冷やします。 - 氷をたっぷりと
グラスに大きめの氷を山盛りに入れます。氷が少ないとすぐに溶けてしまい、水っぽいハイボールになってしまいます。 - ウイスキーを注ぎ、冷やす
オールドを適量(30ml程度)注ぎ、マドラーで数回かき混ぜてウイスキー自体をしっかりと冷やします。 - ソーダを静かに
よく冷えた強炭酸のソーダを、氷に当てないようにグラスの縁から静かに注ぎ入れます。
ウイスキー1に対してソーダを3~4の割合が黄金比です。 - 混ぜすぎない
炭酸が抜けないよう、マドラーを底から一度だけ持ち上げるように縦に混ぜれば完成です。
お好みでレモンピール(果皮)を軽く搾ると、柑橘の爽やかな香りが加わり、さらにキレの良い味わいになります。
日常的にウイスキーを楽しむ方法として、これほど優れた選択肢はなかなかないでしょう。
サントリー オールド 700ml 43度
総括:サントリーオールドは山崎に似てる?
記事のポイント まとめです
- サントリーオールドは1950年発売の歴史あるブレンデッドウイスキー
- サントリー山崎は1984年発売の日本を代表するシングルモルトウイスキー
- オールドと山崎が似ていると言われる理由はキーモルトにある
- オールドには山崎蒸溜所のシェリー樽原酒が使われているとされる
- このシェリー樽原酒由来の甘く華やかな香りが香味の共通点
- オールドはまろやかでバランスの取れた飲みやすい味わいが特徴
- 山崎は多彩な原酒が織りなす複雑で重層的な香味を持つ
- オールドはブレンデッド、山崎はシングルモルトという明確な違いがある
- 「まずい」という評価は個人の好みや時代の変化によるもの
- 現行品のオールドはウイスキー初心者にもおすすめしやすい香味
- オールドはジャパニーズウイスキーの定義を満たした本物のウイスキー
- 原材料はモルトとグレーンでウイスキー以外の混ぜ物はない
- 価格帯は山崎の方がオールドよりも上に位置づけられる
- ハイボールにするとオールドの甘みが引き立ち食事にも合わせやすい
- 結論として香味の骨格に共通点はあるが個性は異なるウイスキーと言える
【参考情報一覧】
- サントリー公式サイト(オールド): https://www.suntory.co.jp/whisky/old/
- サントリー公式サイト(山崎): https://www.suntory.co.jp/whisky/yamazaki/
- JWIC ジャパニーズウイスキーの定義: https://jwic.jp/story/definition/210916_01/
- Wikipedia サントリーオールド: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
- 楽しいお酒.jp: https://tanoshiiosake.jp/4492
- BARREL365: https://www.barrel365.com/suntory_old/
- mybest: https://my-best.com/4778
- SAKELOG: https://sakelog7.jp/whiskies-similar-to-yamazaki/
- ラマスピリッツ: https://rama-spirits.com/review/suntory-old/
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