この記事では、多くのウイスキー愛好家が関心を寄せるサントリー ウイスキー エクセレンスについて、その魅力を徹底的に掘り下げていきます。
そもそもウイスキーって何から造られるのかという基本的な知識から始まり、サントリーエクセレンスとはどんなウイスキーなのか、その誕生の背景と歴史を詳しく解説します。
また、サントリーの最高級ウイスキーは響なの?といった素朴な疑問や、かつてのボトルに記された「特級」表示の意味とは何かについても触れていきます。
発売当時の定価はいくらだったのか、そして終売から現在までの客観的な評価はどのように変わってきたのでしょうか。
さらに、現在の買取価格と市場での価値を分析し、コレクターズアイテムとしても名高い80周年記念ボトルのデザインと背景、独特な形状が目を引く蒸留器型ポットスチルボトルの魅力、そして人気の地球儀ボトルの価値と入手方法に至るまで、あなたが知りたい情報を網羅的にお届けします。
この記事で分かること
記事のポイント
- サントリー エクセレンスの誕生から終売までの歴史
- 「特級」表示や記念ボトルなど、種類の違いと特徴
- 発売当時の定価から見る現在の市場価値と買取相場
- ウイスキー愛好家による客観的な香味の評価
サントリー ウイスキー エクセレンスの歴史と特徴

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この章では、サントリーエクセレンスがどのようなウイスキーなのかを解説します。
1971年の誕生背景や歴史、「特級」表示の意味、当時の定価までを詳しく知りたい方は必見です。
ポイント
- そもそもウイスキーって何から造られる?
- サントリーエクセレンスとはどんなウイスキー?
- サントリーの最高級ウイスキーは響なの?
- ボトルに記された「特級」表示の意味とは
- 発売当時の定価はいくらだった?
そもそもウイスキーって何から造られる?

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ウイスキーは、主に穀物を原料として造られる蒸留酒の一種です。
大麦やライ麦、トウモロコシといった穀物を麦芽の酵素で糖化させ、酵母を加えてアルコール発酵させた後、蒸留器で蒸留してアルコール度数の高い液体(ニューポット)を造ります。
このニューポットを木製の樽で長期間熟成させることで、琥珀色の美しい色合いと、複雑で豊かな香味が生まれるのです。
また、使用される穀物の種類によって、ウイスキーの基本的な性格が大きく変わります。
例えば、スコッチウイスキーや日本のウイスキーの多くは、豊かな風味を持つ大麦麦芽(モルト)を主原料とします。
一方で、アメリカンウイスキーの代表格であるバーボンは、原料の51%以上をトウモロコシが占めることで、特有の甘みが生まれます。
ウイスキーの製造工程は、大きく分けて「製麦」「糖化」「発酵」「蒸留」「熟成」「混和(ブレンディング)」のステップで構成されます。
これらの各工程が、最終的な製品の品質と個性を決定づけます。
特に、香味に大きな影響を与えるのが「発酵」と「熟成」の段階です。
発酵の過程では、酵母が糖をアルコールに変えるだけでなく、エステル類と呼ばれる華やかな果実香の元となる成分も生成します。
さらに、ウイスキーの個性を決定づける最も重要な工程が「熟成」です。
蒸留を終えたばかりの無色透明な液体(ニューポット)は、木製の樽の中で何年もの歳月を過ごします。
この間に、樽材からポリフェノールなどの成分が溶け出し、ウイスキーに色と味わいの深みを与えます。
また、樽を通してごく僅かな空気と触れ合うことで、香味はよりまろやかに、そして複雑に変化していくのです。
例えば、バーボンの熟成に使われた樽で寝かせればバニラのような甘い香りが、シェリー酒に使われた樽で寝かせればドライフルーツのような香味が加わります。
(出典:ウイスキーのつくり方 サントリーウイスキー入門 | サントリー)
このように、ウイスキーはどの穀物を選び、どのように発酵させ、どんな樽でどれくらいの期間熟成させるかという、無数の選択肢の組み合わせによって造られます。
自然の恵みと、長い時間、そして職人の技術が融合して生まれる、非常に奥深いお酒であると言えます。
サントリーエクセレンスとはどんなウイスキー?

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サントリーエクセレンスは、1971年(昭和46年)にサントリー(当時は壽屋)から発売された、国産のブレンデッドウイスキーです。
このウイスキーが誕生した背景には、当時の日本の洋酒市場における大きな転換点がありました。
具体的には、翌1972年に控えていたウイスキーの輸入自由化です。
それまで高い関税に守られていた国産ウイスキー市場に、本場スコットランドの高品質なスコッチウイスキーが本格的に流入してくることへの強い危機感が、開発の原動力となりました。
このため、サントリーエクセレンスは単なる新商品ではなく、「海外の高級スコッチウイスキーと堂々と渡り合える国産の逸品」を創り上げるという、明確で強い意志のもとに開発された戦略的な商品でした。
開発の陣頭指揮を執ったのは、サントリーの二代目社長であり、自らも卓越したブレンダーであった佐治敬三氏です。
当時のサントリーが保有する膨大な原酒の中から、日本のウイスキーの故郷である山崎蒸溜所で長期熟成されたモルト原酒をキーモルトとして贅沢に使用したとされています。
香味の特徴としては、山崎モルト由来の華やかでフルーティーな香りと、それを支えるグレーンウイスキーの滑らかさが調和した、まろやかで深みのある味わいが挙げられます。
当時のサントリーのラインナップの中では、「オールド」や「リザーブ」、「ローヤル」といった銘柄よりも上位に位置する、最高級クラスのプレミアムウイスキーでした。
(出典:サントリーウイスキー エクセレンス|特級オールドボトルの定価や買取価格、味わいを徹底解説 | SAKEURU BY LINXAS)
残念ながら2004年に終売したとされていますが、その卓越した品質と完成度の高さから、現在でもオールドボトル市場で高い人気を誇っています。
発売から終売まで30年以上にわたって多くのウイスキーファンに愛され続けたエクセレンスは、日本のウイスキーが世界水準へと飛躍していく過渡期を支えた、歴史的にも非常に重要な銘柄の一つです。
サントリーエクセレンス レアオールド 70年代 特級 43% 760ml
サントリーの最高級ウイスキーは響なの?

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「サントリーの最高級ウイスキー」という問いに対しては、2025年9月現在、多くの場合「響(ひびき)」がその答えとして挙げられます。
響は、サントリー創業90周年を記念して1989年に誕生した、日本のブレンデッドウイスキーの最高峰ブランドです。
そのコンセプトは「日本の四季、日本人の繊細な感性、日本の匠の技を結集したウイスキー」であり、国内外で極めて高い評価を受けています。
響が最高峰と称される理由は、その贅沢な原酒の構成と、複雑かつ調和の取れた香味にあります。
サントリーが保有する山崎蒸溜所、白州蒸溜所、そして知多蒸溜所で造られる個性豊かな原酒の中から、ブレンダーが長期熟成されたものを中心に厳選し、繊細な技術でブレンドして生まれます。
具体的には、山崎蒸溜所の華やかで深みのあるモルト原酒、白州蒸溜所の軽やかで爽やかなモルト原酒、そして知多蒸溜所の滑らかでクリーンなグレーンウイスキーが、互いの個性を高め合うようにして一つのシンフォニーを奏でます。
特に「響21年」や「響30年」といった長期熟成の製品は、世界的な酒類コンペティションで数々の最高賞を受賞しており、その品質は世界的に認められています。
(出典:響-サントリーブレンデッドウイスキーの最高峰- サントリー)
サントリー 響21年 700ml 専用カートン入り
響 30年 サントリー ウイスキー 700ml 専用カートン付
一方で、サントリーエクセレンスが発売された1970年代においては、状況が異なります。
当時は響ブランドが存在せず、エクセレンスが「ローヤル」や「リザーブ」よりも上位の、最高級クラスの銘柄として確固たる地位を築いていました。
この時代のサントリーのブレンデッドウイスキーは、主に山崎蒸溜所のモルト原酒を主軸に構成されていました。
つまり、エクセレンスは当時のサントリーが持つ最高の山崎モルト原酒を結集させた、その時代の技術の粋を極めたウイスキーだったのです。
このように、サントリーのラインナップは時代と共に進化してきました。
1980年代以降、白州蒸溜所の原酒も多彩に揃い、ブレンドの幅が大きく広がったことで、より複層的で華やかな香味を持つ「響」という新たな最高峰が誕生しました。
しかし、エクセレンスもまた、その時代の最高品質を追求した輝かしいウイスキーであったことに間違いはありません。
ボトルに記された「特級」表示の意味とは

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1989年以前に流通していたサントリーエクセレンスのボトルには、ラベルに「ウイスキー特級」という表示が見られます。
これは、単なる品質表示ではなく、かつて日本に存在した「酒税法における従価税制度」に基づく、非常に重要な意味を持つ等級区分でした。
この制度は、ウイスキーの品質に応じて税率を変えるというもので、消費者が支払う価格にも直接影響を与えていました。
特級サントリー エクセレンスSUNTORY EXCELLENCE760ml/43%
この制度は、ウイスキーに含まれるモルト原酒の混和率やアルコール度数に応じて「特級」「一級」「二級」の3つに分類するものでした。
1953年から1989年(平成元年)の酒税法改正まで36年間にわたり続いたこの制度において、「特級」は最も品質基準が厳しく、そして最も高い税率が課される区分でした。
具体的には、モルト原酒の混和率が27%以上で、なおかつアルコール度数が43度以上のウイスキーにのみ、この「特級」の表示が許可されていたとされています。
(出典:サントリー エクセレンス特級(~1989年)&90年代以降ミニチュア テイスティング評価 | MESO-WHISKY)
しかし、この等級制度は1989年の法改正によって廃止されます。
これは、国際的に見て特殊な日本の税制が、輸入品に対する非関税障壁になっているという批判に対応したものでした。
この改正により、ウイスキーの価格は品質や熟成年数といった本来の価値により直接的に反映されるようになったのです。
したがって、「特級」の表示があるサントリーエクセレンスは、1989年以前に製造され、当時の法律が定める高い品質基準を満たしたボトルであることを明確に示しています。
これは単に古いボトルであるというだけでなく、政府によって品質が保証されていた時代の製品であることの証左です。
このため、オールドボトルをコレクションする上で「特級」表示の有無は一つの重要な指標となっており、一般的に特級表示のあるボトルの方が、それ以降に製造されたボトルよりも価値が高いと見なされる傾向にあります。
発売当時の定価はいくらだった?

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サントリーエクセレンスが発売された1971年当時の定価は、3,000円でした。
この金額の価値を現代の感覚で理解するためには、当時の物価水準を考慮する必要があります。
1971年における大学卒業者の平均初任給が約4万7,000円であったことをふまえると、月給の約16分の1に相当する価格であり、これは非常に高価なウイスキーであったことが分かります。
(出典:サントリーウイスキー エクセレンス|特級オールドボトルの定価や買取価格、味わいを徹底解説 | SAKEURU BY LINXAS)
あくまで一つの目安ですが、2025年9月現在の大卒初任給が約24万円前後であることを基準に単純計算すると、当時の3,000円は現代の約1万5,000円以上の価値があったとも考えられます。
このことからも、エクセレンスが日常的に楽しむお酒ではなかったことがうかがえます。
サントリーエクセレンス レアオールド 70年代 特級 43% 760ml
さらに、当時のサントリーの他の主要なウイスキーと比較すると、その高級な位置づけはより明確になります。
例えば、広く親しまれていた「サントリーオールド」の当時の価格が1,500円前後であったため、エクセレンスはその倍の価格で販売されていました。
これは、サントリーが明確な価格差をもって、エクセレンスを特別なプレミアムウイスキーとして市場に送り出したことを示しています。
この価格設定の背景には、前述した「特級」という酒税法の等級制度が大きく関係しています。
高い品質基準を満たす「特級」ウイスキーには、最も高い酒税が課せられていました。
そのため、定価の3,000円には、高品質な原酒の価値だけでなく、高額な税金も含まれていたのです。
この高価格こそが、輸入品に対抗するための国産プレミアムウイスキーという開発コンセプトを体現しており、特別な日に飲むための憧れの的、あるいは社会的ステータスを示す贈答品としてのブランドイメージを確立する上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。
サントリー ウイスキー エクセレンスの現在の価値と種類

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この章では、終売品であるエクセレンスの現在の価値とボトルの種類を解説します。
市場での評価や買取相場、コレクターに人気の記念ボトルの詳細を知りたい方におすすめです。
ポイント
- 終売から現在までの客観的な評価
- 現在の買取価格と市場での価値
- 80周年記念ボトルのデザインと背景
- 蒸留器型ポットスチルボトルの魅力
- 人気の地球儀ボトルの価値と入手方法
- 総括:サントリー ウイスキー エクセレンスの魅力
終売から現在までの客観的な評価

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サントリーエクセレンスは2004年に終売したとされていますが、その人気は衰えることなく、ウイスキー愛好家や専門家からの評価は現在でも非常に高いものがあります。
特に、年月を経た「オールドボトル」として確固たる地位を築いており、その評価は単に過去の製品というだけでなく、時間によって育まれた独自の価値が付加されています。
長期間瓶の中で熟成されたウイスキーには、「オールドボトル効果」と呼ばれる香味の変化が現れることがあります。
これはボトルコンディションにも左右されますが、アルコールの角が取れて口当たりがより滑らかになったり、香味成分が複雑に絡み合って発売当初とは異なる熟成香(時に「ひね香」とも呼ばれます)が生まれたりする現象です。
エクセレンスの現在の評価には、こうした時間経過による変化の魅力も含まれていると考えられます。
香味に関する評価
多くのテイスティングレビューにおいて、エクセレンスは「華やかな果実香」「甘くまろやかな口当たり」「全体のバランスの良さ」といった点で一貫して高く評価されています。
特に、キーモルトとされる山崎蒸溜所の長期熟成原酒に由来するであろう、熟した果物や蜂蜜を思わせるリッチな甘みが香味の中心的な特徴として挙げられることが多いようです。
具体的には、アプリコットやドライフルーツ、バニラやカラメルのような甘い香りに、シナモンを思わせる穏やかなスパイス香が感じられるという意見が見られます。
また、製造された年代によって香味に違いがあるとされ、飲み比べて評価する愛好家も少なくありません。
中でも1989年以前の特級表示時代にボトリングされたものは、よりシェリー樽原酒の影響が強く感じられ、濃厚で複雑な味わいを持つという意見が主流です。
一方で、1990年代以降のものは、よりクリーンで洗練された味わいになっているとも言われ、どちらの時代にもそれぞれのファンが存在します。
歴史的価値に関する評価
前述の通り、サントリーエクセレンスは日本のウイスキー史において、輸入自由化という大きな転換期に対応するために生まれた極めて重要な製品です。
単に美味しいウイスキーというだけでなく、その歴史的背景が価値をさらに高めています。
これは、サントリーのブレンダーたちが世界に通用する品質を目指し、持てる技術と最高の原酒を注ぎ込んだ、プライドの結晶とも言える銘柄です。
いわば、エクセレンスは後継の世界的なブレンデッドウイスキー「響」へと続く、国産高級ウイスキーの礎を築いた一本です。
エクセレンスの開発と長期にわたる製造を通じて培われたブレンド技術や、そのためにストックされた高品質な長期熟成原酒があったからこそ、後の「響」の誕生が可能になったとも考えられます。
このように、日本のウイスキーの品質向上と発展の歴史を体現する象徴的な存在として、その価値が専門家や愛好家によって再認識されているのです。
サントリーエクセレンス レアオールド 70年代 特級 43% 760ml
現在の買取価格と市場での価値

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終売品であるサントリーエクセレンスは、現在、正規の販売ルートでは購入できず、入手するには古酒を扱う酒店やオンラインオークション、フリマアプリなどを利用する必要があります。
一口に「エクセレンス」と言っても、その市場価値は後述するボトルの種類や保存状態によって数千円から数万円までと、非常に大きな価格差があるのが実情です。
2025年9月時点の市場動向を見ると、最も流通量が多いキルン(麦芽乾燥塔)を模したデキャンタボトル(箱付き・美品)であれば、数千円から1万円前後で取引されることが多いようです。
ただし、これはあくまで目安であり、近年のジャパニーズウイスキー全体の需要拡大に伴い、価格は常に変動しています。
(出典:「サントリーエクセレンス」の落札相場・落札価格 - Yahoo!オークション)
一方、有田焼の陶器ボトルといった特殊な記念ボトルは、その希少価値から数万円以上の高値で取引されることも少なくありません。
このように、エクセレンスの価値を正しく知るためには、価格を左右する要因を理解することが不可欠です。
価格を左右する主な要因
オールドボトルの価値は、複数の要素が複雑に絡み合って決まります。
特に重要なのが「ボトルの種類」「保存状態」「市場の需要」の3点です。
ボトルの種類と希少性
エクセレンスには、通常のデキャンタボトル以外にも、前述した「ポットスチルボトル」や「地球儀ボトル」、さらには企業や百貨店の周年記念として造られた限定品など、多種多様なバリエーションが存在します。
これらのボトルは生産数が少ないため希少性が高く、コレクターからの需要も相まって、通常のボトルよりも大幅に高い価格で評価される傾向にあります。
ボトルの保存状態
オールドボトルの査定において、最も重要視されるのが保存状態です。
以下の点が特に厳しくチェックされます。
液面の低下
栓の劣化などにより、中のウイスキーが蒸発して液面が下がっていないかは、最も重要なポイントです。
液面の低下が著しい場合、価値が大きく下がることがあります。
ラベルの状態
ラベルにシミ、破れ、カビなどが発生していないかどうかも価格に影響します。
発売当時の美しい状態を保っているほど、評価は高くなります。
付属品の有無
購入時に付属していた箱や冊子などが揃っている「完品」の状態であれば、査定額はさらに上がります。
特に記念ボトルの場合、専用の箱の有無は価値を大きく左右します。
市場の需要
2010年代以降、世界的なジャパニーズウイスキーブームが続いており、すでに終売となった銘柄の価値も全体的に上昇傾向にあります。
サントリーエクセレンスもその例外ではなく、今後も需要が安定していれば、価値が維持される可能性があります。
以上の点をふまえると、もしご自身が所有するエクセレンスの売却を検討する場合は、自己判断で価値を決めるのではなく、複数の古酒専門買取業者に見積もりを依頼し、専門家の視点から適正な価格を把握することが大切です。
サントリーエクセレンス レアオールド 70年代 特級 43% 760ml
80周年記念ボトルのデザインと背景

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サントリーエクセレンスには、その長い歴史の中でいくつかの記念ボトルが存在しますが、中でも特に広く知られ、多くの愛好家に親しまれているのが1979年に登場した「サントリー創業80周年記念ボトル」です。
このボトルは、単なる限定品に留まらず、後のエクセレンスのイメージを決定づけた重要なデザインでした。
この記念ボトルは、サントリーの前身である鳥井商店が1899年(明治32年)にぶどう酒の製造販売を開始してから80年という、大きな節目を祝うために企画・発売されました。
そのデザインは、日本のウイスキー造りの聖地ともいえる山崎蒸溜所の象徴的な風景から着想を得ています。
ボトル本体の形状と特徴的なキャップは、ウイスキーの原料となる大麦麦芽を乾燥させるための施設である「キルン(麦芽乾燥塔)」を精巧にモチーフにしています。
キルンの特徴であるパゴダ屋根(仏塔のような屋根)をかたどった重厚なキャップと、どっしりとしたデキャンタ形状のボトルは、まさにウイスキー造りの伝統と歴史そのものを表現していると言えるでしょう。
当初は80周年を記念する限定品としての登場でしたが、この格調高いデザインは消費者から絶大な支持を受けました。
その結果、サントリーはこのデザインを記念ボトルだけに留めず、以降のエクセレンスの標準ボトルとして採用することを決定しました。
これにより、1971年の発売当初のシンプルな角瓶デザインから、よりプレミアム感を増したこのキルンボトルへと、エクセレンスのブランドイメージは大きく昇華されたのです。
記念ボトルとして企画されながら、後にスタンダードボトルとして長期間にわたって流通したという経緯があるため、オールドボトル市場における現存数は比較的多い方です。
しかし、その完成された美しいデザインは、発売から数十年が経過した現在でも色褪せることなく、多くのコレクターやウイスキーファンを魅了し続けています。
そのため、初期の角瓶タイプのエクセレンスと比較した場合、こちらのキルンボトルの方が象徴的なデザインとして人気が高く、高値で取引される傾向にあります。
特級サントリー エクセレンスSUNTORY EXCELLENCE760ml/43%
蒸留器型ポットスチルボトルの魅力

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サントリーエクセレンスの数あるバリエーションの中でも、ひときわ異彩を放ち、コレクター垂涎の的となっているのが「ポットスチルボトル」です。
これは、ウイスキーの香味を決定づける上で心臓部ともいえる工程「蒸留」に使用される銅製の単式蒸留器(ポットスチル)を、温かみのある陶器で精巧に再現したボトルです。
そのユニークで完成度の高いデザインから、エクセレンスの特殊ボトルの中でも特に高い人気を誇っています。
このボトルの最大の魅力は、単なるウイスキーの容器という役割を遥かに超えた、工芸品としての芸術性にあります。
ポットスチルの丸みを帯びた釜の部分や、白鳥の首のように優美な曲線を描くアーム、そして冷却器に至るまで、その構造がデフォルメされながらも見事に表現されています。
ウイスキー造りへの深い敬意とこだわりが感じられるこのデザインは、デスクやキャビネットに飾るだけで、その空間に知的な雰囲気と重厚感を与えてくれます。
そのため、ウイスキーを飲み終えた後も、美しいインテリアとして長く愉しむことを目的に購入を希望する人が後を絶ちません。
特級 サントリーポットスティルエクセレンスSUNTORYPOT STILLEXCELLENCE43% / 760ml
ボトルに詰められているウイスキーは通常のエクセレンスと同じですが、その価値は中身の液体以上に、ボトル自体の希少性とデザイン性の高さにあります。
生産数が限られていたため、現存する数も少なく、オールドボトル市場では非常に高額で取引されています。特に、購入時の外箱や付属品がすべて揃った「完品」の状態で見つかることは稀であり、そのような個体は極めて高い価値が付けられます。
陶器製であるため、欠けやひび割れがなく、美しい状態を保っているかどうかも査定の重要なポイントです。
(出典:サントリーエクセレンス・ポットスティル | LIQUOR HORIBA)
このように、ポットスチルボトルはサントリーの遊び心と、ウイスキー製造への情熱が結晶した特別な一本です。
その入手の困難さから、多くのウイスキー愛好家やコレクターにとっては、一度は自身のコレクションに加えたいと願う「憧れのボトル」の一つと言えるでしょう。
人気の地球儀ボトルの価値と入手方法

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「地球儀ボトル」は、前述のポットスチルボトルと並び、サントリーエクセレンスの特殊ボトルとして非常に高い人気を誇る一品です。
これはサントリーによる正式な製品名ではありませんが、ウイスキーボトルが精巧な金属製の地球儀型スタンドに収められているそのユニークな姿から、愛好家の間で自然とこの愛称で呼ばれるようになりました。
特級 サントリーポットスティルエクセレンスSUNTORYPOT STILLEXCELLENCE43% / 760ml
このボトルの最大の魅力は、大航海時代の天球儀や古地図を思わせる、ロマンあふれるクラシカルなデザインにあります。
真鍮などを思わせる重厚な金属製のスタンドは、地球の経度や緯度を示すフレームでボトルを支え、自由に回転させることができる凝った作りになっています。
ボトル自体は通常のエクセレンスですが、このスタンドと一体となることで、単なるお酒のボトルではなく、知的な探求心や冒険心をくすぐる見事なオブジェへと昇華されています。
その高級感あふれる佇まいから、発売当時は企業の役員室や法律事務所の書斎、あるいは高級クラブのカウンターなどを飾るステータスシンボルとして、また大切な方への格式高い贈答品としても大変重宝されました。
現在、この地球儀ボトルを入手するには、古酒を専門に扱うオンラインストアや、インターネットオークションなどが主な手段となります。
ポットスチルボトル同様、その希少性とデザイン性の高さからコレクターズアイテムとして確立されており、価値はボトルの保存状態やスタンドのコンディションに大きく左右されます。
2025年9月時点の市場動向を見ると、状態の良いものであれば数万円単位で取引されることも珍しくありません。
入手や売却を検討する際に特に注意すべき点は、金属製スタンドの状態です。
経年により金属部分に錆、くすみ、メッキの剥がれなどが発生している場合が多く、その度合いによって価値は大きく変動します。
スタンドの輝きが保たれ、ボトルを支えるフレームの動きがスムーズであるほど、高評価が期待できます。
もちろん、ボトル本体の液面低下やラベルの汚れ、そして外箱の有無も査定の重要なポイントです。
そのため、オンラインオークションなどで入手を希望する場合は、掲載されている写真を細部までよく確認し、商品のコンディションを慎重に見極めることが重要です。
ボトル種類 | デザインモチーフ | 主な特徴 | 市場での希少性 |
---|---|---|---|
80周年記念ボトル | キルン(麦芽乾燥塔) | 屋根型のキャップが特徴。後に標準ボトルとして採用。 | 比較的入手しやすい |
ポットスチルボトル | ポットスチル(単式蒸留器) | 陶器製で精巧な作り。コレクター人気が高い。 | 高い |
地球儀ボトル | 地球儀 | 金属製のスタンド付きで重厚感があるデザイン。 | 高い |
総括:サントリー ウイスキー エクセレンスの魅力
記事のポイント まとめです
- 1971年に誕生した国産高級ブレンデッドウイスキー
- 海外の高級スコッチに対抗する目的で開発された
- キーモルトは山崎蒸溜所の長期熟成原酒とされる
- 2004年に終売したとされる
- 華やかでバランスの取れた味わいが特徴
- 1989年までは酒税法に基づく「特級」表示が存在した
- 特級表示は高い品質基準を満たした証
- 発売当時の定価は3,000円で非常に高価だった
- 現在はオールドボトル市場で取引されている
- 通常のボトルは数千円から1万円程度が相場
- キルンを模した80周年記念ボトルが有名
- ポットスチル(蒸留器)をかたどった陶器ボトルは希少
- 地球儀を模したスタンド付きボトルも人気が高い
- 記念ボトルはデザイン性が高くコレクターズアイテムとなっている
- 日本のウイスキー史を語る上で欠かせない銘柄の一つ
【参考情報一覧】
- サントリー公式サイト ウイスキー入門: https://www.suntory.co.jp/whisky/beginner/
- サントリー公式サイト 響: https://www.suntory.co.jp/whisky/hibiki/
- SAKEURU BY LINXAS サントリーウイスキー エクセレンス解説: https://linxas.shop/pedia/whiskey-suntorys-limited-edition-of-old-sake-s/
- MESO-WHISKY サントリー エクセレンス特級 評価: http://blog.livedoor.jp/mesowhisky/archives/42410709.html
- Yahoo!オークション「サントリーエクセレンス」落札相場: https://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch/サントリーエクセレンス/0/
- LIQUOR HORIBA サントリーエクセレンス・ポットスティル: http://liquor-horiba.com/page38/detail-15512
- 日本料理 旬花 サントリーエクセレンス ポットスチル: https://www.kaiseki-syunka.com/column/f4c4996e623ffdacfe3669acda85dd72a323b375.php
- Wikipedia サントリーローヤル: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A4%E3%83%AB