「サントリーローヤルはまずい」という、少し気になる評価を目にして、あなたはこの記事にたどり着いたのではないでしょうか。
サントリーの創業者・鳥井信治郎が「最後にして最高の名作」と情熱を注いだ、輝かしい歴史を持つこのウイスキー。
それなのに、なぜ一部でネガティブな声も存在するのか、不思議に思いませんか。その評価の裏に隠された真相に、この記事では深く迫っていきます。
この記事では、まずローヤルの基本的な味わいを解説し、蜂蜜や熟した果実を思わせるその香味プロファイルを紹介します。
そして、ネット上の評価が本当に正しいのかを多角的に探り、なぜ評価が分かれるのか、その背景を紐解きます。
現在の価格と味わいのコストパフォーマンスを検証するだけでなく、よく見かけるスリムボトルとの違いや、一部で囁かれる品薄の噂は本当かどうかも明らかにしていきます。
また、多くのファンが推測する、山崎原酒がキーモルトという噂の真相に迫り、サントリーの最上級ウイスキーである響や山崎との比較を通じて、ローヤルが持つ独自の立ち位置を明確にします。
さらに、この記事の核心として、おすすめの飲み方で劇的に美味しくなる秘訣や、人気のハイボールにした時の味わいの変化も詳しく紹介します。
ウイスキー愛好家の間で伝説として語られる、終売したローヤル12年との味わいの違いや、幻のローヤル15年はどんな味わいだったのかにも触れ、サントリーローヤルが持つ多面的な魅力の全てを解き明かしていきます。
記事のポイント
- 「まずい」と言われる評価の具体的な理由
- 飲み方で味わいが変わる科学的な背景
- 歴代ボトルとの比較から見える現行品の特徴
- ローヤルの真価を引き出すおすすめの飲み方
サントリーローヤルがまずいという評価の背景を探る

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この章では「まずい」と言われる理由を、味わいや価格、他のウイスキーとの比較から多角的に探ります。
ネット上の評価の真相を知りたい方はぜひ参考にしてください。
ポイント
- ローヤルの基本的な味わいを解説
- ネット上の評価は本当に正しいのか?
- 価格と味わいのコストパフォーマンスを検証
- スリムボトルとの違いや品薄の噂は本当?
- 山崎原酒がキーモルトという噂の真相
- サントリーの最上級ウイスキーとの比較
ローヤルの基本的な味わいを解説

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サントリーローヤルの基本的な味わいを理解するためには、まず公式サイトで語られている「甘く華やかで、なめらかな口あたりのウイスキー」という特徴が全ての基本となります。
この一文は、ローヤルが目指す香味の方向性を的確に示しています。
この公式な表現を、多くの専門家や愛好家たちのテイスティングコメントを基に、さらに深く掘り下げてみましょう。
まず、グラスに注いだ瞬間に立ち上る香りについてです。
多くのレビューで共通して指摘されるのが、蜂蜜やキャラメル、バニラを思わせる甘く芳醇な香りです。
出典:榎商店 お酒情報ブログ サントリー ローヤルを飲んでみた感想
これに加えて、熟した柿、りんご(時には焼きりんごや、少し乾いた林檎と表現されることもあります)、オレンジピールといった多彩なフルーティーな香りが重なります。
さらに、その背後には熟成樽由来のウッディな香りがしっかりと存在し、香りの全体像に奥行きと複雑さを与えています。
出典:タロウのウイスキー雑記帳 サントリー ローヤル 現行 テイスティング 評価No.116
開封直後はアルコールの刺激を少し感じることもありますが、時間が経つにつれて香りが開いてくるという評価もあります。
出典:ウイスキー大学 【レビュー評価】サントリー『ローヤル』【バーテンダーの正直な感想】
次に、口に含んだ時の味わいです。
口当たりは非常に柔らかく、なめらかであると評されています。
味わいの中心にあるのは、豊かなモルトの甘みです。
しかし、単に甘いだけではありません。ドライフルーツの凝縮された甘酸っぱさ、かすかな柑橘系の酸味、そしてコーヒーやダークチョコレートを思わせる心地よいビターさが複雑に絡み合います。
さらに、後味にはわずかなスパイス感も感じ取ることができます。
出典:ウイスクテンダー レビュー|サントリーウイスキーローヤル【華やかでクラシカルな味わい】
最後に、飲み終えた後の余韻に注目します。
余韻は長く、心地よいウッディさと、すっきりとしたドライな感覚が続きます。
鼻に抜ける香りには、アンズのような果実の甘やかさが感じられ、全体の印象を上品にまとめています。
このように、甘さ、フルーティーさ、ウッディさ、ビターさ、スパイシーさといった複数の香味要素が、どれか一つだけが突出することなく、絶妙なバランスで調和しているのが、サントリーローヤルの基本的な味わいの特徴です。
サントリー ローヤル 700ml
ネット上の評価は本当に正しいのか?

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インターネットでサントリーローヤルの評判を調べると、「長年のファンです」「この価格でこの味は素晴らしい」といった肯定的な意見と、「期待外れだった」「まずいと感じた」という否定的な意見が混在しており、評価が大きく二分されていることがわかります。
では、これらの評価は本当に正しいのでしょうか。
それぞれの意見の根拠を詳しく見ていくことで、その背景を探ります。
否定的な評価の主な理由
まず、否定的な評価で共通して見られるいくつかのポイントを整理します。
最も頻繁に指摘されるのが、特にストレートで飲んだ際に感じるアルコールの刺激的なアタック感です。
「鼻にツンとくる」「味わいにトゲがある」といった表現で語られることが多く、これが飲みづらさの原因となっているようです。
一部のレビューでは、これを「接着剤のような風味」と、より具体的に表現する声も見られます。
出典:ウイスクテンダー レビュー|サントリーウイスキーローヤル【華やかでクラシカルな味わい】
次に、評価を二分する最大の要因とも言えるのが「苦味」の存在です。
相当数のレビューにおいて、特にオン・ザ・ロックで飲むと、それまで感じられなかった不快な苦味が出現する、あるいは増強されると報告されています。
この苦味は、高カカオチョコレートのような心地よいビターさとは異なり、全体のバランスを崩す要素として捉えられてしまうことがあるようです。
出典:note サントリー ローヤル(響とは致命的に違う点)
出典:ブルックリンライフハック 国産ブレンデッドウィスキー飲み比べ~サントリー&ニッカ&その他~
肯定的な評価の主な理由
一方で、ローヤルを高く評価する声もまた、非常に説得力のある論拠に基づいています。
最も一貫して称賛されているのは、その価格に対する品質の高さ、つまり卓越したコストパフォーマンスです。
3,000円台という比較的手頃な価格でありながら、芳醇で複雑、そして満足度の高い飲用体験を提供することは、多くの愛好家から支持される最大の理由となっています。
出典:楽天 みんなのレビュー
出典:ウイスクテンダー レビュー|サントリーウイスキーローヤル【華やかでクラシカルな味わい】
また、支持者はこの価格帯では類を見ないほどの「芳醇さ」を強調します。
果実、オーク、甘みが幾重にも重なる層状の香味プロファイルは、価格以上の価値があると評価されています。
さらに、バランスが取れ、滑らかで、日本人の繊細な味覚に合わせて作られたサントリーのクラシックなスタイルを完璧に体現している点も、高く評価される理由の一つです。
このように、評価が分かれる背景には、個人の味の好みだけでなく、ウイスキーに何を求めるかという期待値の違いや、そして最も重要な要素として「どのような飲み方で楽しんだか」という点が大きく影響していると考えられます。
したがって、ネット上の評価が「正しい」か「間違っている」かを一概に判断することは難しく、それぞれの評価がどのような条件下でなされたのかを理解することが大切になります。
価格と味わいのコストパフォーマンスを検証

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サントリーローヤルのコストパフォーマンスを正確に検証するためには、まず現在の市場における価格帯を把握することが大切です。
2025年10月時点において、サントリーが設定している希望小売価格は700mlのオリジナルボトルで3,900円(税抜)です。
もちろん、これはあくまで希望小売価格であり、実際の販売価格は店舗によって異なります。
大手酒類販売店のオンラインストアなどを見ると、おおむね3,000円台半ばから4,000円台前半で推移していることが多く、この価格帯が一般的な相場と考えられます。
出典:カクヤス公式サイト
出典:やまや公式サイト
この価格帯で、世界的に権威のある「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」で金賞を受賞するほどの品質を持つジャパニーズウイスキーが、比較的安定して供給されている点は特筆すべきです。
多くの専門家や愛好家からは、「この価格帯でこの完成度のボトルを出せるのはサントリーならでは」と、その技術力と企業努力が高く評価されています。
出典:タロウのウイスキー雑記帳 サントリー ローヤル 現行 テイスティング 評価No.116
しかし、ローヤルの評価を複雑にしているのが、その輝かしい歴史です。
1960年の発売当初、ローヤルは銀座の高級クラブなどでボトルキープされるステータスシンボルであり、一般の家庭で気軽に楽しめるお酒ではありませんでした。
出典:Peaty 日本のウイスキー、「サントリーローヤル」のご紹介
この状況が大きく変わる転換点となったのが、1998年の酒税法改正です。
この改正によりウイスキーにかかる税率が変更され、ローヤルの価格も大幅に下がり、多くの人が手に取りやすい存在へと変わりました。
この歴史的背景が、現代における価格への期待値にズレを生んでいる可能性があります。
例えば、かつての高級品としてのローヤルを知る飲み手は、現在の価格に合わせて最適化されたブレンドを、過去のより贅沢な原酒構成と比較し、「味が落ちた」と感じてしまうかもしれません。
一方で、ローヤルが持つ「高級ウイスキー」というイメージだけを知っている新しい世代の飲み手は、現在の価格以上の特別な味わいを無意識に期待してしまい、そのギャップから「期待外れ」と感じる可能性も考えられます。
それでも、現在の市場において同価格帯の他のウイスキーと比較した場合、その芳醇さや複雑な味わいは、コストパフォーマンスに優れているという評価が一般的です。
多くのレビューで「手頃な価格で上質なジャパニーズウイスキーを楽しめる」と評価されている事実は、このウイスキーが持つ価値を客観的に示していると言えます。
スリムボトルとの違いや品薄の噂は本当?

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サントリーローヤルを手に取ろうと考えたとき、独特な形状のオリジナルボトル(700ml)の他に、「スリムボトル」と呼ばれる細身のボトル(660ml)が存在することに気づくかもしれません。
この2種類のボトルについて、そして一部で囁かれる品薄の噂について、その真相を詳しく検証していきます。
オリジナルボトルとスリムボトルの違い
まず最も気になる点として、2つのボトルの間で中身のウイスキーに違いがあるのか、という疑問が挙げられます。
この点については、現在市場に流通している製品に関しては、容量(オリジナル700ml、スリム660ml)とボトルの形状が異なるだけで、味わいは同じであるとされています。
出典:ウイスキー大学 【レビュー評価】サントリー『ローヤル』【バーテンダーの正直な感想】
では、なぜ形状の違うボトルが存在するのでしょうか。
スリムボトルは、1990年頃に主に業務用として登場しました。
バーなどのバックバー(カウンターの後ろにある棚)に多くのボトルを並べる際、スペース効率が良く、収まりが良いようにと機能性を追求してデザインされたものです。
出典:BARREL 【サントリーローヤルを学ぶ】味や種類、おすすめの飲み方や価格
ただし、注意が必要なのは過去に流通していた古いボトル、いわゆるオールドボトルを探す場合です。
過去に流通していたスリムボトルの中には、アルコール度数が現行品の43%ではなく40%に調整されていた時期がありました。
そのため、同じスリムボトルであっても、製造された年代によって味わいが異なる可能性があります。
出典:ジャパニーズウイスキー探求日記 サントリー ローヤル スリムボトル(1991~95年流通)
現行品を購入する際には気にする必要はありませんが、コレクションやオールドボトルのテイスティングに興味がある場合は、ラベルの表記などを確認することが大切です。
品薄の噂について
次に、「ローヤルは品薄で手に入りにくい」という噂についてです。
実際にフリマサイトなどでは「品薄」という言葉を添えて出品されているケースが見られます。
出典:Yahoo!フリマ サントリー ローヤル スリムボトル 品薄 古酒
しかし、これは全国的な供給不足というよりは、一部の店舗や地域で一時的に在庫が少なくなることがある、というのが実情に近いようです。
近年、ジャパニーズウイスキー全体の人気が国内外で非常に高まっているため、店舗によっては入荷後すぐに売り切れてしまうことも考えられます。
一方で、大手酒類販売店のオンラインストアや大手通販サイトなどでは、比較的安定して在庫があり、購入可能な状況が見られます。
このため、もし近所の店舗で見つからない場合でも、複数の購入チャネルを探すことで入手は比較的容易と言えます。
サントリー ローヤル スリムボトル 660ml
要するに、現在流通しているローヤルを選ぶ際には、ボトル形状による味わいの違いを心配する必要はありません。
また、品薄に関しても、探す場所を選べば安定して手に入れることが可能な状況です。
山崎原酒がキーモルトという噂の真相

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サントリーローヤルの味わいを語る上で、多くのウイスキー愛好家が口にするのが「キーモルトは山崎原酒ではないか」という説です。
この噂の真相を探るには、まずサントリーの公式なスタンスを理解する必要があります。
結論から言うと、ローヤルを含む多くのブレンデッドウイスキーの具体的な原酒構成(レシピ)は、企業の秘伝として公式には公開されていません。
出典:Peaty 日本のウイスキー、「サントリーローヤル」のご紹介
しかし、それでもなお山崎原酒がキーモルトであるという説が広く知られているのには、いくつかの強力な根拠が存在します。
歴史が証明する山崎との深い繋がり
この説の最も有力な根拠は、ローヤルが誕生した歴史的背景にあります。
サントリーローヤルが世に出たのは1960年、サントリーの創業60周年を記念してのことでした。
重要なのは、この1960年という時点では、サントリーが所有するモルトウイスキー蒸溜所は山崎蒸溜所ただ一つだったという事実です。
出典:BARREL 【サントリーローヤルを学ぶ】味や種類、おすすめの飲み方や価格
現在、サントリーのウイスキーづくりを支える白州蒸溜所が設立されたのは1973年、そしてグレーンウイスキーを製造する知多蒸溜所が設立されたのは1972年です。
このことから、発売当初のローヤルに使用されたモルト原酒は、山崎蒸溜所で造られたものであったと断定できます。
この歴史的な事実こそが、「ローヤルの魂は山崎にあり」とされる根源なのです。
味わいが語る山崎のDNA
歴史的な背景に加え、多くのテイスターが指摘するのが、現行のローヤルとシングルモルトウイスキー「山崎」との香味の共通点です。
複数のレビューにおいて、「味わいの方向性が山崎と似ている」「ウッディで華やかな印象が山崎を彷彿とさせる」といった評価が見られます。
出典:ウイスクテンダー レビュー|サントリーウイスキーローヤル【華やかでクラシカルな味わい】
具体的には、熟した果実のような甘みや、ミズナラ樽由来とされる白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)を思わせるオリエンタルな香りのニュアンスが、両者に共通して感じられるとされています。
これは、同じ山崎蒸溜所の原酒がブレンドに使われていることを強く示唆する感覚的な証拠と言えます。
出典:最愛の彼女に浮気された男の努力記 【レビュー】サントリーローヤルはまずい?→山崎っぽくて普通にうまい
現在のブレンド構成の推測
これらの根拠から、現在のローヤルは、山崎蒸溜所のモルト原酒を味わいの中心、つまりキーモルトとして据えていると考えられます。
そして、そこに白州蒸溜所の軽快で爽やかなモルト原酒と、知多蒸溜所の滑らかで甘いグレーンウイスキーをブレンドすることで、あの複雑でバランスの取れた味わいを生み出している、と推測するのがウイスキー愛好家の間での一般的な見解です。
出典:お酒買取専門店リンクサス ローヤルは響のジェネリック?
したがって、公式な発表はないものの、歴史的背景と味覚的な分析の両面から、「山崎原酒がキーモルトである」という噂は、限りなく事実に近い説であると考えられます。
サントリーの最上級ウイスキーとの比較

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サントリーローヤルが同社のウイスキーラインナップの中でどのような位置づけにあるのかを理解することは、その価値を正しく評価する上で欠かせません。
ローヤルは、日常的に親しまれているウイスキーから、世界的な評価を受ける最高級品まで、幅広い製品群の中間に位置する重要な銘柄です。
ブレンデッドウイスキーの階層における位置づけ
まず、同じブレンデッドウイスキーのカテゴリーで比較してみます。
サントリーには、「ダルマ」の愛称で知られる「オールド」や、「スペシャルリザーブ」といった長年愛されてきた銘柄があります。
ローヤルは、これらの上位モデルとして明確に位置づけられています。
出典:楽天 みんなのレビュー
実際に飲み比べると、価格順に芳醇さが増すと評価されており、ローヤルはオールドやリザーブに比べて、より複雑で豊かな香味を持っていることがわかります。
出典:ラマスピリッツ レビュー|サントリーウイスキー ローヤル
そして、サントリーが誇るブレンデッドウイスキーの最高峰には「響」が存在します。
出典:たのしいお酒.jp 「響」サントリーウイスキーの最高峰
響は、山崎、白州、知多の各蒸溜所の個性が調和した、まさに芸術品ともいえるウイスキーです。
ローヤルは響よりも下の価格帯に位置しますが、その香味の中には、響が持つ「調和(ハーモony)」の哲学に通じる要素、例えば香木を思わせるオリエンタルなニュアンスが感じられると評する専門家もいます。
このため、ローヤルは響へと続くサントリーのブレンディング技術の系譜を理解する上で、重要な一本と考えることができます。
出典:タロウのウイスキー雑記帳 サントリー ローヤル 現行 テイスティング 評価No.116
シングルモルトウイスキーとの違い
一方で、単一の蒸溜所のモルト原酒のみで作られるシングルモルトウイスキーというカテゴリーがあります。
サントリーのシングルモルトの頂点には、世界的なオークションで数千万円という高額で落札されることでも知られる「山崎55年」のような、超長期熟成のボトルが存在します。
出典:お酒買取専門店 Liquor999 珍しい最高級ウイスキー 山崎55年の魅力とは
出典:WINE REPORT サントリー「山崎55年」8500万円で落札
これらの最上級品と比較すると、ローヤルは日常的に楽しむためのプレミアムウイスキーという位置づけがより明確になります。
複数の蒸溜所の原酒をブレンドすることで、安定的かつバランスの取れた味わいを実現しているのがローヤルの強みです。
下の表は、それぞれの特徴を簡易的に比較したものです。
銘柄 | 種別 | 主な特徴 | 位置づけ |
---|---|---|---|
ローヤル | ブレンデッド | 華やかで甘い香り、なめらかな口あたり | デイリープレミアム |
響 | ブレンデッド | 幾重にも重なる複雑な香りと味わいの調和 | スーパープレミアム |
山崎 | シングルモルト | ミズナラ樽由来のオリエンタルな香り、複雑な味わい | プレミアムシングルモルト |
サントリー響ジャパニーズハーモニー43度700ml箱付き
サントリー 山崎 100周年記念蒸溜所ラベル 700ml 43度 箱付 ノンヴィンテージ
サントリーローヤルをまずいと感じさせない美味しい飲み方

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この章では、ローヤルを美味しく楽しむための具体的な飲み方を解説します。
ハイボールや歴代ボトルとの比較も交え、その真価を引き出す方法を紹介します。
ポイント
- おすすめの飲み方で劇的に美味しくなる
- ハイボールにした時の味わいの変化
- 終売したローヤル12年との味わいの違い
- 幻のローヤル15年はどんな味わい?
- 結論:まずいというサントリーローヤルは飲み方で変わる
おすすめの飲み方で劇的に美味しくなる

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サントリーローヤルの評価が「まずい」と「うまい」に分かれる大きな要因の一つが「飲み方」です。
このウイスキーは、飲み方によって驚くほどその表情を変える、非常に繊細な特性を持っています。
したがって、ローヤルが持つ本来のポテンシャルを最大限に引き出す方法を知ることが、このウイスキーを正しく評価する上で何よりも大切になります。
ここでは、代表的な飲み方と、それによってローヤルの味わいがどのように変化するのかを詳しく解説していきます。
香りを引き出す「少量加水」と「トワイスアップ」
もしストレートで飲んだ際にアルコールの刺激が気になる場合、まず試していただきたいのが少量の水を加える飲み方です。
具体的には、スポイトなどで数滴の水を加える「ワンドロップ」や、ウイスキーと常温の水を1対1で割る「トワイスアップ」がおすすめです。
出典:SAKEstory 「ワンドロップ」と呼ばれるウイスキーの飲み方
この飲み方で香りが豊かになるのには、科学的な根拠があります。
ウイスキーの香り成分の一部は、水と混ざりにくい性質を持っています。
アルコール度数が高い状態では液体の中に閉じ込められていますが、水を加えることでアルコール度数が下がると、これらの香り成分が液体の表面に移動し、揮発しやすくなります。
これにより、ウイスキーの持つ華やかな香りが「開く」と言われています。
出典:note 【ウイスキーやジンに水を一滴?】香りが劇的に変わる「加水」の科学
サントリーローヤルの場合、この飲み方によってアルコールの角が取れて格段に滑らかになります。
そして、ストレートでは感じにくかった甘さやフルーティーさがより豊かに感じられるようになります。
一部の専門家は、加水することで上位ブランドである「響」にも通じる香木のようなニュアンスが微かに感じられると評価しています。
出典:タロウのウイスキー雑記帳 サントリー ローヤル 現行 テイスティング 評価No.116
評価が分かれる「オン・ザ・ロック」
オン・ザ・ロックは、ウイスキーを冷やすことで口当たりが滑らかになり、すっきりと飲める人気のスタイルです。
ローヤルもロックにすることで、特有の甘みが引き締まり、熟した果実のような風味が際立つという肯定的な評価があります。
出典:ラマスピリッツ レビュー|サントリーウイスキー ローヤル
ある専門家は、ロックにしたローヤルを「抜群に美味しい」「クリーミーなウッディさが心地良い」と絶賛しています。
出典:タロウのウイスキー雑記帳 サントリー ローヤル 現行 テイスティング 評価No.116
一方で、前述の通り、冷やすことで苦味や渋みが強く感じられるようになるという指摘も少なくありません。
これは、冷却によってウイスキーの熟成樽に由来するタンニンなどのポリフェノール化合物の溶け方が変化し、味覚への感じ方が変わるためと推測されます。
このため、ロックで飲む際は、大きめの氷を使い、ゆっくりと氷が溶けていく過程での味の変化を楽しむのが良いかもしれません。
最初はすっきりとした味わいから、徐々に加水されてまろやかになっていく香味の変化をじっくりと堪能できます。
以下の表に、代表的な飲み方とその特徴をまとめました。
飲み方 | 特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
ストレート | ウイスキー本来の味と香りを直接楽しむ | 芳醇な甘みと複雑な香りを最も感じられる | アルコールの刺激を強く感じることがある |
トワイスアップ | ウイスキーと常温の水を1:1で割る | 香りが最も華やかに開き、味わいが滑らかになる | ボディが軽くなり、飲みごたえは減る |
オン・ザ・ロック | 氷を入れて冷やして飲む | 口当たりが滑らかになり、甘みがすっきりする | 人によっては苦味や渋みを強く感じることがある |
水割り | 氷と水で割り、好みの濃さで楽しむ | 優しく染み込むような味わいで、食中酒に最適 | ウイスキー本来の力強さは薄まる |
ハイボールにした時の味わいの変化

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近年、ウイスキーの最もポピュラーな飲み方の一つとなったハイボールですが、サントリーローヤルで作るとどのような味わいの変化が楽しめるのでしょうか。
この飲み方についても、評価は肯定的なものと、少し注意を促すものに分かれています。
まず、肯定的な評価としては、非常にリッチで高級感のあるハイボールが楽しめるとされています。
ローヤルが持つフルーティーさや蜂蜜のような甘さが炭酸によって引き立ち、爽快感の中にもしっかりとした飲みごたえが感じられます。
出典:お酒買取リカーズジョイ 【サントリーローヤル】家でリッチなハイボールに
あるバーテンダーは、前半に感じるはちみつやリンゴ系の爽やかさから、後半に現れるウッディさとほのかなスモーキーさへと、グラスの中で香味が変化していく点が美味しいと評価しています。
出典:ウイスキー大学 【レビュー評価】サントリー『ローヤル』【バーテンダーの正直な感想】
炭酸の爽快感が加わることで、ストレートやロックとはまた違った魅力が生まれ、ウイスキー初心者の方でも親しみやすい味わいになります。
ただ、一部の専門家や愛好家の間では、ハイボールにすることでローヤル特有の芳醇さや複雑な風味が薄まってしまい、このウイスキーの良さを十分に引き出せないのはもったいない、という意見もあります。
出典:ウイスクテンダー レビュー|サントリーウイスキーローヤル【華やかでクラシカルな味わい】
また、味わいの変化として、ストレートで感じられた豊かな甘みが抑えられる代わりに、樽由来のビターさが際立つように感じる人もいるようです。
出典:榎商店 お酒情報ブログ サントリー ローヤルを飲んでみた感想
これは欠点というわけではなく、すっきりとしたキレのある味わいを好む方にはむしろ長所となり得ます。
このように言うと、ハイボールが良くない飲み方のように聞こえるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
むしろ、飲みごたえのある美味しいハイボールが作れるという評価も多くあります。
出典:ウイスキー大学 【レビュー評価】サントリー『ローヤル』【バーテンダーの正直な感想】
要するに、ハイボールはローヤルの持つ複雑な香味の一部をシンプルにし、爽快感を前面に押し出す飲み方と言えます。
そのため、食中酒として楽しむ場合や、すっきりとリフレッシュしたい場合には最適な選択肢の一つです。
一方で、ローヤルの奥深い世界をじっくりと探求したい場合は、ストレートや少量加水といった他の飲み方も試してみるのが良いかもしれません。
終売したローヤル12年との味わいの違い

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現在のサントリーローヤルは、熟成年数を表記しない「ノンエイジ(NAS)」として販売されています。
しかし、ローヤルの長い歴史を語る上で欠かせないのが、かつてラインナップの主軸であった「ローヤル12年」の存在です。
この12年熟成ボトルは、原酒不足などの影響から2008年頃に終売となっており、今では古酒市場でしか手に入らない希少なボトルとなっています。
出典:なもなきアクアリウム 【レビュー】#94 『サントリー ローヤル12年』(2002年~2007年頃流通)
この「ローヤル12年」は、販売されていた時代によってラベルデザインや味わいが異なり、いくつかのバリエーションが存在します。
代表的なものとしては、1995年から1997年にかけて販売された「プレミアム12年(通称:青ラベル)」や、1997年から2002年にかけて販売された「12年黒ラベル」などが挙げられます。
出典:BARREL 【サントリーローヤルを学ぶ】味や種類、おすすめの飲み方や価格
これらの12年以上熟成された原酒を主体としたボトルは、現行のノンエイジ品と比較して、より熟成感があり、複雑で奥行きのある味わいだったと高く評価されています。
特に「12年黒ラベル」は、シェリー樽原酒の影響が感じられる、木苺ジャムやダークベリーのような華やかで甘酸っぱい香りが特徴とされています。
出典:Peaty 日本のウイスキー、「サントリーローヤル」のご紹介
これらのボトルが持つ、長期熟成ならではの重厚な味わいは、現行品が持つ爽やかさや軽快さとは異なる魅力を持っています。
オールドボトルを愛好するファンの間では、この時代のローヤルが持つ複雑な香味を懐かしむ声が多く、これが「昔のローヤルはもっと美味しかった」という評価の一因にもなっています。
実際に飲み比べたレビューを見ると、現行品は山崎由来の優しい甘さが主体であるのに対し、過去の12年ものはより熟成感と複雑さが感じられる、といった比較がなされています。
出典:ジャパニーズウイスキー探求日記 サントリー ローヤル12年(2007~2008年8月)
もちろん、ある専門家が指摘するように、ブレンデッドウイスキーとしての全体の完成度や味わいの綺麗さでは、技術が進歩した現行品が上回っているという見方もあります。
出典:タロウのウイスキー雑記帳 サントリー ローヤル 現行 テイスティング 評価No.116
サントリー ローヤル 12年 黒ラベル SUNTORY ROYAL 12years black 700ml 43% オールドボトル ヴィンテージウイスキー
このように、終売となった「ローヤル12年」の存在は、現行品を評価する上での一つの比較基準となっており、その伝説的な味わいが現代の評価に複雑な影響を与えているのです。
幻のローヤル15年はどんな味わい?

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サントリーローヤルの歴史上、最上位ボトルとしてウイスキー愛好家の間で語り継がれているのが、1997年から2007年頃まで販売されていた「ローヤル15年」です。このボトルも現在は終売となっており、その希少性から「幻のローヤル」として二次市場では高値で取引されています。
出典:お酒買取専門店 SAKEURU サントリーローヤル プレミアム 15年 ブルーラベル
ローヤル15年は、その名の通り、サントリーが貯蔵する豊富な原酒の中から、酒齢15年以上の長期熟成モルト原酒とグレーン原酒を厳選してブレンドした、非常に贅沢なウイスキーです。
特筆すべきは、その味わいの核(キーモルト)として、シェリー酒の古樽で15年以上じっくりと熟成させた山崎蒸溜所のモルト原酒をたっぷりと使用している点です。
この原酒が、ローヤル15年の極めて高く評価される味わいの源泉となっています。
出典:酒のケントウ サントリー ローヤル 15年:700ml 終売
その香味は、多くのテイスティングノートで絶賛されています。
香りは、シェリー樽由来の「高く甘く華やかに舞い立つ芳香」が特徴で、メープルシロップのような濃厚な甘やかさも感じられます。
出典:懐石旬花 ローヤル15年
また、杏やプラムといった果実香、紅茶のような柔らかい甘さ、そしてどっしりとした重厚な香りも感じ取れると評されています。
出典:ジャパニーズウイスキー探求日記 サントリー ローヤル プレミアム15年 リンク先:
出典:くりりんのウイスキー置場 サントリー ローヤル プレミアム15年 43%
口に含むと、とろりとしてリッチな口当たりと共に、重厚で滑らかなコクが広がります。
味わいは非常に多層的で、完熟したフルーツや濃厚なチョコレート、ウッディなほろ苦さ、キャラメリゼ、そして微かなドライアプリコットなどが複雑に絡み合います。
出典:懐石旬花 ローヤル15年
出典:くりりんのウイスキー置場 サントリー ローヤル プレミアム15年 43%
その卓越した完成度の高さから、一部のウイスキーファンからは、サントリーの最高峰ブレンデッドウイスキーの一つである「響12年」(こちらも終売品)に匹敵するとも評されるほどです。
出典:お酒買取専門店リンクサス 「サントリーローヤル15年はまずい?」真実と魅力を徹底レビュー
現行のノンエイジボトルとは一線を画す、長期熟成ならではの重厚さと複雑さを兼ね備えた、まさに特別な一本と言えます。
サントリー ローヤル 15年 青ラベル 43% 700ml Suntory ROYAL 15years blue label オールドボトル ヴィンテージウイスキー
結論:まずいというサントリーローヤルは飲み方で変わる
この記事を通じて、「サントリー ローヤル まずい」という評価の背景と、その真偽について多角的に検証してきました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
記事のポイント まとめです
- サントリーローヤルは甘く華やかな味わいが特徴のウイスキー
- 「まずい」という評価は主にアルコールの刺激や特定の飲み方での苦味が原因
- 一方で価格以上の品質を持つコストパフォーマンスの高さが絶賛されている
- かつて高級品だった歴史が現在の評価に影響を与えている可能性がある
- スリムボトルと通常ボトルの中身は同じとされている
- キーモルトには山崎蒸溜所の原酒が使われていると推測される
- サントリーの中では響の下、リザーブやオールドの上に位置づけられる
- 飲み方によって味わいが大きく変化する繊細な特性を持つ
- 少量の加水は香りを華やかにしアルコール刺激を和らげる
- ロックで飲むと人によっては苦味を感じやすくなることがある
- ハイボールは爽快だがローヤル本来の複雑さが薄まるという意見もある
- 水割りは食事にも合わせやすく、穏やかな味わいを楽しめる
- 終売した12年や15年といった長期熟成品はより複雑で重厚な味わいを持つ
- 国際的な品評会で金賞を受賞するなど客観的な品質評価は非常に高い
- 「まずい」という評価は飲み方や期待値とのミスマッチから生じる誤解の可能性がある
【参考情報一覧】
- サントリー公式サイト: https://www.suntory.co.jp/whisky/royal/product.html
- タロウのウイスキー雑記帳: http://blog.livedoor.jp/mesowhisky/archives/36436739.html
- ウイスクテンダー: https://inokazu.com/suntory-royal/
- ウイスキー大学: https://whisky-daigaku.com/suntoryroyal/9111/
- BARREL: https://www.barrel365.com/royal/
- Peaty: https://peaty.club/blog/1237
- 榎商店 お酒情報ブログ: https://enokishouten.co.jp/blog/royal-review
- note(moconote): https://note.com/mocconote/n/n296f94885e84
- カクヤス公式サイト: https://www.kakuyasu.co.jp/store/commodity/0010/00069201/
- 日本洋酒酒造組合: https://www.yoshu.or.jp/